PiPi's World 投稿小説

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

の最初へ
 73
 75
の最後へ

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 75

結局、僕たちがラブホを出たのは昼を遠に過ぎていた。
当然ながら多額の延長料金を取られたけど、香澄ちゃんは「こんなに安くてぇ、サービスしてくれぇたんだぁね」などと言って喜んでいた。

「さ、これからどうするんだ?」
僕はまだ香澄ちゃんは家に帰りたくないのかどうか、様子を伺う。

「うっ…」
香澄ちゃんが固まって、考え込んでしまう。
「匠さんも、一度青山家のほうにいらしてください。一緒に働いているほかのメイドたちも紹介したいので」
桜ちゃんが代わりにそう言う。
「で、でも、桜ちゃん…」
「お父様もお母様も、お嬢様のことをお思いですよ。怒ってなどはおりません」
「そ、そうかなぁ…」
香澄ちゃんはまだ不安げだ。

そこで僕は考える。
「今夜はとりあえずこっちに泊まって、明日ご挨拶…ってのかな、それでいけたらいいかと」
「はい!是非そうしてください!明日の朝お迎えに上がりますので!」
桜ちゃんは満面の笑顔で言う。

「二人がぁそぉ言うならぁそうしようかぁな?」
香澄ちゃんは渋々といった赴きで、僕の腕を握り締めてくる。
「ん?…どうした?…ご両親は怒っていないようだから、心配はいらないよ…」
「ううん、そうじゃないのぉ…私がぁ帰ったら、お見合いが待っているから…」
…そうだった…だから僕は香澄ちゃんの婚約者にスカウトされたんだったよね…

「その辺に関しても、大丈夫だと思います」
桜ちゃんが答える。
「お父様は確かに、実業家として大成功を収めた方です…しかし、決して人を上辺だけで見るような方ではありません」
「そうか…」
「私だって、匠さんとお嬢様が結ばれて欲しいと思ってます」
「桜ちゃん…」
香澄ちゃんが感極まったのか掠れ声になっていた。

横にいた僕とて、桜ちゃんのその言葉に感激を覚え、鼻が白んだ…
こんな無職で、東京ではマン喫に泊まる金さえも底をついてしまった不甲斐無い男に、そこまで言ってくれる桜ちゃんには、感謝するしかない…
「ありがとう…そこまで言って貰えて、僕はマジ嬉しいよ…」

SNSでこの小説を紹介

年下の他のリレー小説

こちらから小説を探す