ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 595
「ありがとう。それにこのドリンクも美味しかったよ…」
席を立ち、頬を上げた。
「はぁい〜。1、2時間後に効いてきますから、よかったらまた来てくださいねぇ♪…」
ん?…
まあ疲労回復ってことだよね…?
「鈴田巧のことが分かったらまた報告するよ…」
僕は彩乃さんの言葉をスルーした…
彩乃さんはニコニコしながらその場から立ち去っていく。
なんかその表情が気になったけど…まあいいか。
僕もフィットネスルームを出る。
さすがに香澄と桜ちゃんも起きて朝ごはん(遅すぎる)を食べている頃だろう。
1人になれる場所があるか考えながら、僕は来た道を歩いていく。
廊下をすれ違う女の子たちは、恵美を浮かべて目礼して行く…
考えてみたら、僕は知らなくてもあっちは大抵、僕が香澄のダンナになる男だって分かるんだもんな…
何たってこの家に男は和彦さんと2人だけだからね;…
「おっ匠くん、ゆっくり眠れたか?…」
エレベーターから降りてきたのは、和彦さんだった。
「おはようございます…おかげさまで、バッチリと」
「そうか、それは良かった」
和彦さんは少し考えながら
「匠くん、今は暇だよね?」
「ええ…」
「一緒にコーヒーでも飲みながらちょっと話をしようじゃないか」
「はい。僕も丁度ゆっくりしたいと思っていたところなんです。」
僕はもちろん喜んでそれに応じた。
「それじゃ屋上で、景色でも眺めながら話そうか。」
「へぇー屋上なんてあるんですね。」
「ああここは高台に建っているから、遠くまで見渡せるんだよ。」
「あっ、でもコーヒーは?」
「そんな心配はいらないよ。屋上は私専用のラウンジになっているからね。」