ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 581
まだ朝の早い時間、人気はまったくなかった。
こんなに広いプールを自分たちだけで独占できるというのも、なかなかないだろう。
「匠さん、お待たせしました!」
後ろからエリカちゃんの声が響く。
振り向いてその姿を確かめる。
ウェアはごく普通のスポーツ用の水着。
ビキニやハイレグのような、際どいものではなかった。
それでも学校で支給させるようなそれはとても清潔な感じがして、エリカちゃんにはとても似合って見えた。
「誰もいないなんてラッキーだね。」
僕は少しばかり照れながら、はにかんだ笑顔を向けた。
「はい、匠さんと2人きりの方が私も良かったかな…」
屈託のない笑顔でエリカちゃんは言う。
水着自体はシンプルだけど、エリカちゃんのスタイルは僕の想像以上だった。
色白の肌にスラリとした手足、胸もお尻も太ももも程よくボリュームがあって健康的だ。
香澄を始め、僕の周りにはどちらかというとスレンダーな子が多いんで、なんか新鮮だ。
「そんなに見ないで下さい…太っているから…恥ずかしいです…」
「そんなこと無いよぉ!僕は痩せ過ぎの子より、エリカちゃんの方が絶対いいと思うよ!」
思わず声に力が入った…
「あ、ありがとうございます…」
エリカちゃんは頬を赤らめながら、僕に近づき右手をそっと握った。
「じゃあ、行こうか」
心が高ぶるのを抑えながら、僕はエリカちゃんと一緒にプールに入っていく。
「わぁ、ちょっと冷たいですね」