ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 16
ああ…
それを見て、僕はなんとも言えない感じがした。
香澄ちゃんの処女は、今僕がもらったのだ。
「香澄ちゃん」
「はい…」
「大丈夫?」
「…はい。最初は痛かったけど、匠さんが優しくしてくれてるから、大丈夫です」
健気な娘だった。
僕が心配そうな顔をしていたのだろう、香澄ちゃんはニコリと笑ってくれた。
辛い記憶にしたく無かった。
男だろうと女だろうと、始めての体験が性的な部分においては、よかったと思える比率は極めて低いのを知っていた。
それでもここで僕がイかないのも、それはそれで香澄ちゃんの女のプライドを害し兼ねないとも思えた。
「身体の力、抜いて…」
僕は香澄ちゃんにキスを落とすと、腰を前に迫り出した。
「ん、んっ!」
香澄ちゃんが小さく呻いた。
その瞬間、膣の締め付けがさらにきつくなった感じがした。
でも、ここはじっと我慢する。
分身は香澄ちゃんの奥まで達しようとしていた。
唇を離して顔色をうかがうと、香澄ちゃんはうっすらと涙を浮かべながらも、微笑んでいた。
「あぁああ…匠さんが、私の中に、入ってる…」
「どうかな?」
「すごい…大きい…それにあったかいし…嬉しい…」
「僕もさ…僕も香澄ちゃんとこうなれて、滅茶苦茶嬉しいんだ…」
自分の声が涙ぐんでいるのに気づき、僕は慌てた。
それでも、その言葉に嘘は無かった。
今まで、ロミ&ジュリみたいに短時間に恋に落ちることなど、信じてはいなかった。
そんなの、ただの身体目当てだろうと、馬鹿にもしてきた。
それなのに…
香澄ちゃんと出会ってまだ数時間しか経ってはいないにも関わらず、僕は香澄ちゃんのことが愛しかった。
もしここで、香澄ちゃんに『痛いから止めて』と言われれば、射精などしないで、終わりにしてもいいと思える程だった。
…これって、恋してるってことなのか?…
火照った顔の香澄ちゃんを見つめながら、僕は沸き上がる自分の感情に、戸惑いを覚えていた。
「匠さん」
香澄ちゃんが言う。
「大好き。匠さんのこと、大好きです」
にこりと笑って、そう言う。
「…僕もだよ」
僕は香澄ちゃんの頬を優しく撫でた。
「動いてもいい?」
「はい」
僕は香澄ちゃんの中に、ゆっくりと自分自身を打ち込んだ。