ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1025
「大丈夫ですよ〜、心配しないでください」
「そうか?」
「まあ、気になることはありますけど、私が関わっても仕方ないっていうか…」
美玲ちゃんは少し意味深な言葉を残して自分のデスクに向かう。
…そういう日が近いと多少機嫌にも影響するって聞くけど、2人にはうまくいってほしいからなぁ。
新庄のことを知らなかった時はイケ好かない嫌なヤツかとも思っていたけど、いざ知り合ってみるとなかなかいいヤツだったりしたからな…
今となっちゃ、どっちの肩を持つかも迷っちゃうからね;…
「先輩ぃ〜美玲のヤツ、何って言ってました?」
「何だよ;…気になるんだったら自分の口でちゃんと聞けばいいだろ…」
ここはあえて突き放す。
関係修復を目指すなら自分の力に任せた方がいい。
新庄だって男だ、やるときはやってくれるはず。僕は期待してるんだぞ。
「匠さん、これお願いします」
「ありがとう」
葉月ちゃんから書類を挟んだバインダーをもらう。
「ん…?」
一番上に小さなメモが。
『匠さん、今晩お暇ですか?2人でお食事行きたいです』
僕は慌ててそのメモをズボンのポケットに忍ばせる。
まあ葉月ちゃんと2人で食事に行ったからって、別に皆に隠すことでも無いんだけど;…
でもやっぱり葉月ちゃんとは前に疚しいことがあっただけに、食事だけでは済まない何かを感じてしまう;…
ポケットの中でメモを握り締める…
指に触れる僕のソコは、微かに期待を見せていやがった…
ソワソワした気持ちが周りに悟られないように午前中はデスクワークに集中した。
葉月ちゃんにはお昼の休憩にOKと伝える。
「ありがとうございます!」
その笑顔が眩しい。
…と同時にまたあらぬ期待が高まってしまう。
午後もデスクワーク。
夏子さん曰く新庄にも僕と同じ役割を任せたいらしい。