ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 1023
僕は2階の冬美ちゃんの部屋に戻る。
「おかえりなさい」
「お風呂ありがとう」
「お母さんは?」
「たぶん寝ちゃったんじゃないかな」
冬美ちゃんはクスッと笑う。
「匠さんも明日もお仕事ですよね」
「ああ、もう寝なきゃな」
「今夜は一緒に…どうぞ♪」
ちょっと緊張したけど…その夜はぐっすり眠れた。
「なんか驚いちゃいましたよ;…朝起きたら夏子さんが横で寝てんですもん…」
新庄は小さい声で呟いた。
「お前全く覚えてないのかよ?…;」
まあ僕も、酒を呑むと人のことは言えないんだけどね;…
「はい;…記憶は居酒屋からプッツリ…夏子さんの家にお邪魔したことなんて全く記憶にありません;…」
まるで何かの疑惑が報じられた政治家のように俯き頭を掻く。
どうも同じにおいがして責める気になれない。気持ちは十分わかるからねぇ。
一方で夏子さんは朝から随分とご機嫌な様子。
キッチンで僕らの分まで朝食を作ってくれている。
「なんか申し訳ありません;…」
オープンキッチンに向かい声を掛ける…
「やだぁ気にしないでぇ〜、若い男の子と朝食を取るだなんて、なんかこっちこそ元気出ちゃうはぁよ。」
夏子さん;…その発言ってもうオバサン化してますよ;…
いい匂いが漂ってくる。
「いつもは朝は軽く済ませるんだけど、今日は2人のお客様がいるんだもの、腕によりをかけるわ!」
「無理しないでくださいよ…」
夏子さんのパワフルさを感じる。
「匠さん、おはようございます」
「ああ…冬美ちゃん、おはよう」
そこに冬美ちゃんもやってきた。