離島 6
彼等はアヌビスの手によってワイヤーを外され、自由にされていた。
しかし、包帯はそのままなので動くことはできないが。
アヌビスはなにやら呪文を唱える。包帯に巻かれた男達の動きが激しくなってくる。
まるでまぐわっているかのように腰を振り、包帯の下で声をあげる。
そのうねる白い塊の輪の中にアヌビスが立ち尽くしている。
あちこちでなにやら呻き声が上がる。
それは性交を求める声。
性欲が更に増してきているらしかった。腰が突き上げられ、分厚い筈の包帯がねっとりと濡れ始めた。
アヌビスはどこか満足げな表情を浮かべる。
キノコのようにしっかりと膨張した先端部からオス臭い液が漏れ出てきた。
俺が現場に現れたのは、奴らが射精しようとしていた時だった。
アヌビスが見下ろす前で、痙攣するように仰け反る包帯連中。
なんの儀式だか。
女が巻き込まれていなさそうなのが唯一の救いだろう。
びくり!びくり!と奴らの一人が動き、先端に白いシミが広がる。
どう言う儀式か知らないが、これ以上放っては置けない。
どうせ後ろ暗い男に過ぎないから…
パン!
乾いた音。俺の手にはずっしりとした反動。
今にも射精しようとしていた包帯の一つから、赤いシミが広がり、動かなくなっていく。
一人射殺したら、アヌビスがこちらに目を向けた。
俺は余計なことをしたらしかった。
アヌビスは冥界の神、おそらく目の前に居るのはそれを模した魔物であろう。
それでも悪人を死なすのはまずかった。
既に赤黒くなってしまった包帯の塊が蠢く。
頭がなにかの動物のような形状に変形しているらしかった。
俺はそこに更に銃弾を叩き込んだが皮膚も硬化し始めているのか包帯が破れただけで致命傷にはならなかった。
破れた箇所から覗く肌は異様に赤かった。
血や内臓とは違う、宝石みたいな輝く赤だった。
アヌビスが妨害のために障壁のようなものを出現させた。
ガラスにエジプト風の文字を書いたみたいなそれは足元の男たちを飛び越えてこちらに向かってきた。
「危ないな…この建物が崩れたらどうするんだ…!」