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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 13

「“弱い部分を的確に見定めて”って…彼女達に物理学や建築学の知識があったとは考えにくいんだが…」
眉間を押さえて考え込むルークにクラウスは言った。
「意外とそんな複雑な知識は要らないんじゃないでしょうか?ずっと野生の中で生きていたなら、我々とは比べ物にならないほど観察眼が優れていて、どこが全体の中で最も弱い部分かを見定める事だって出来るのでは?」
「それはそれで脅威だよね…」

一行がそんな事を話していると、後ろから叫び声がした。
「ハロハ!?ウザラ!!?」
皆が振り向くと、そこには真っ青な顔をしたエリスが立っていた。
「エリス…」
二人とエリスの仲を知っていたハーヴィンは胸が締め付けられる想いだった。
「ハーヴィン先生!!ハロハとウザラはどこへ行ったんですか!!?」
「解らない…」
「そんな…そんなぁ…うわああぁぁぁぁっ!!!!」
力無く首を横に振るハーヴィンに、エリスはその場に泣き崩れた。
「大丈夫だよ、エリス…彼女達はきっと自分達の村へ帰ったんだ」
優しくエリスの肩を抱くハーヴィン。
だがルーク、クラウス、ジェシカの三人には訳が解らない。
エリスが先住民の二人の娘達と親交を深めていたのは知っていた。
確かに急に居なくなってしまって悲しいのは解るが、ここまで取り乱すものだろうか?
とりあえず一行は砦へと戻った…。

「ハァ…あの二人を案内役にして先住民との交渉を行うという計画が頓挫してしまったなぁ…」
ルークは溜め息混じりにつぶやく。
ここは砦の一角に設けられた彼の部屋…執務室と応接室を兼ねているが内装は至って質素だ。

砦は城壁も櫓(やぐら)も中の建物も全て木で造られている。
欲を言えば城壁ぐらいは石積みにしたかった所だが、先住民の襲撃に脅えながら突貫で造り上げた砦だ。
とりあえず城塞としての体裁を整える事を優先させた。

「気を落とさないでください、若。確かに先住民との関係構築は重要な事ですが、我々が成すべき事は他にも山ほどあります」
「確かに…僕らは別に現地人と友達になりに来た訳じゃなかったよ。やっと雨が止んだんだ。本格的な開拓事業に取り掛かろう」

二人は櫓に登った。
元々高い土地だったため、かなり遠くまで見渡す事が出来る。
ルークは言った。
「とりあえずこの海岸沿いの森を全て切り拓いて農地にしよう!」
「はい、若」

…という事で、さっそく開墾作業が始まった。
男達は立ち並んだ木々に次々と斧を入れていく。
コーンッ!コーンッ!という心地よい音が森の中に響き渡る。
樹齢数百年…ひょっとすると千年はあろうかという鬱蒼と生い茂った森はたちまちの内に切り拓かれていき、暗い森に太陽の光が差していった。
後に残った切り株は掘り起こす。
拓けた平地が広がっていく…。

ハーヴィンは土壌を調べ、結果をルークに報告した。
「元が森だっただけに土中の栄養は抜群です。これなら麦でも野菜でも良く育つでしょう」
「ありがとう、教授。アルディアは作物が育たない不毛の地というのは風評だったようだね」

一方、女達は開墾作業に当たる男達のために炊き出しを行ったり、男達に負けじと斧を手に木を切り倒したり切り株を掘り起こす作業に当たった。
女達の指揮を取るのはクラウスの妻ミシェルである。
「みんなぁ!!男共には負けてらんないよぉ〜!!」
「「「おぉ〜っ!!!!」」」
ミシェルは37歳、比較的若い年齢層の多い女達の中では、これでも年上の方だ(ちなみにクラウスは55歳の年の差夫婦である)。
性格はサバサバしており男からも女からも好かれる人柄で、自らも額に汗して作業に当たりながら、女達に的確に指示を与えていく。
外見は実年齢より10歳は若く見え、ジェシカ(20歳)ほどの娘がいるとは思えないほど若々しい。
大きな乳房をユッサユッサと盛大に揺らしながら斧を振るう様は男達には目の毒だ。

その頃、エリスは一人で砦に残ってベッドの中ですすり泣いていた。
「…お姉様、起きてる?お食事を持ってきたわ…」
昼頃、作業を抜け出して来た妹のマリアが食べ物を運んで来た。
「…ひっく……えぐ…えぐ…」
ベッドの中から返事は無く、すすり泣きが聞こえるのみ。
「……」
マリアは枕元に食事を置くとベッドの横にある椅子に腰掛け、話し始めた。
「…あのね、お姉様…私ね…正直言って、あの…アロハとウルザだっけ?…あの二人が居なくなってくれて少しホッとしてるの…」
「ハロハとウザラよ!!間違えないで!」
エリスが布団から顔を出して突っ込んだ。
「ご…ごめんなさい…てゆうかお姉様…プッ…酷い顔…プハハハッ…」
泣きはらして真っ赤な目のエリスを見て思わず吹き出してしまうマリア。
「あなたなんかに私の悲しみが解るはず無いわ!もう放っといてちょうだい!」
「ハァ〜、こりゃ重傷ねぇ…」
「…ねぇ、二人が居なくなってホッとしたってどういう意味…?」
エリスは布団の中から尋ねた。

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