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ノーマンズランド開拓記
官能リレー小説 - その他

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ノーマンズランド開拓記 14

「まさかマリア!あなたもあの二人が獰猛な野蛮人だなんて言うんじゃないでしょうね!?」
「そんな事思ってないわ!…いや、そりゃあ100%否定はしないけど…でもそれが理由じゃないわ。…あの二人と会うようになってから、なんだかお姉様、私の知ってるお姉様じゃなくなっていくような気がして…なんだか怖かったの…」
「…なに言ってるのよ…私は私よ…」
「でも以前は使わなくても顔が映る程ピカピカに磨いてたお菓子作りの道具にも見向きもしなくなっちゃって…今じゃクモの巣が張ってるわよ」
「嘘っ!!?」
「ほら、その事すら忘れてたじゃない…」
ちなみに食料事情が芳しくない現状、小麦粉などの使用は厳重に管理されており、菓子に使うなんてもっての外であった。
「ねえ…一体何がそんなにお姉様を夢中にさせていたの?いわゆる異文化コミュニケーションってやつ?」
「……」
エリスは答えなかった。
答えられるはずがなかった。
あんな淫らな行為…思い出すと今でも膣内が湿って疼いてくる。
そうか…とエリスは思った。
(私はハロハとウザラに恋していたのかも知れない…)
その成熟した肉体とは裏腹に色恋沙汰には極端に疎い純なエリスは今まで二人に感じていた想いが愛とは気付かなかった。
今だって頭に浮かんだのは“愛”ではなく“恋”という言葉だ。
実際はそれ以上の深い思い入れなのだとしても…。
「お姉様?どうしたの?おーい!」
「…ハッ!?い…いえ、何でも無いわ…」
「…?」
エリス、18歳…“娘”から“女”への目覚めを迎えようとしていた…。


その頃、ルークは開墾作業の指揮に当たりながら先住民に警戒していた。
男達の内、一割程は銃を手に周辺の警備に当たっている。
襲撃に備えての事だ。
「彼ら、また襲って来るでしょうか…?」
ふとジェシカが疑問を口にした。
ルークは応える。
「う〜ん…ハロハとウザラが村に戻って、僕達が無害な存在だと皆に説いてくれていれば良んだけどねぇ…」
そこへ、銃を担いだベイウッドが息を切らして駆け付けて来た。
彼も警備役だ。
「ルーク様ぁ!!大変です!!一大事ですぅ〜!!」
「どうした!?」
「いま森の奥の方に謎の人影らしき物を見たという者が…!!きっとあの蛮族…いや、先住民達に違いありません!!」
「見ただけか?襲われた訳ではなく?」
「はい!!」
「しかも人影“らしき物”?はっきり確認した訳じゃないんだな?」
「はい!!ですがきっとヤツラですよ!!俺達の様子を伺ってやがるんだ!!隙を見て仕掛けて来るつもりに違いありませんぜ!!皆を砦に戻して警戒態勢を取るべきです!!」
相変わらずのベイウッドにルークとジェシカは顔を見合わせて肩をすくめた。
ルークは苦笑しながらベイウッドを諭す。
「ベイウッド…どうも君は先住民達に対して不信感があるようだね…」
…と、その時である!
「うぐぅっ!!?」
近くで木に斧を入れていた一人の男が突然うなり声を上げて倒れた。
「矢だ!!」
男の胸には矢が深々と突き刺さっている。
「襲撃だあぁぁっ!!!!」
誰かが叫んだ。
次の瞬間、一行に矢の雨が降り注いだ!
「ぐあぁぁっ!!!!」
「ぎゃあぁぁっ!!!!」
「あぎゃあぁぁっ!!!!」
凶弾ならぬ凶矢の前に次々と倒れていく…開墾作業に当たっていた者達も、警備に付いていた者達も…男も、女も…。
ルーク自身も左肩に矢を受けた。
「ぐ…っ!!?」
実戦で負傷したのは初めてだった。
痛い…というレベルではない。
熱い!…だ。
傷口の感覚は無い。
周辺部がジンジンと痛み、指を動かそうとすると肩から腕にかけて激痛が走る。
泣き叫びたい思いだったが…
「ウギャアァァッ!!!!痛えぇぇ!!!痛えぇよおぉぉ!!!チクショオォォ!!!!」
すぐ隣で太ももに矢の刺さったベイウッドが泣き叫びながら転げ回っていたため妙に冷静になれた…。

その時!

「「「ウオオオオオオオオオッ!!!!」」」
木や茂みの影から先住民達が姿を現し、一斉に襲い掛かって来た。
「▼☆■○◆◎〓△ーッ!!!!」
一人が何か絶叫しながら石の斧を振りかざしてルークに襲い掛かる。
「うわあぁぁぁっ!!!?」
彼は本気で死を覚悟した。

ズダアァァー――ンッ!!!!

次の瞬間、真後ろから銃声…同時にその先住民はヘッドショットを喰らってぶっ飛んだ。
「私のルークに手を出すなあぁぁっ!!!」
振り向くとジェシカが煙の上がった銃を構えて先住民達を睨み付けていた。
「あ……」
それを見たルークは戦闘中である事を忘れ、思わず昔の事を思い出してしまった…。

…幼い頃、王都で他の貴族の子供達に“ラスルティアの亡霊”と言われて虐められた事があった。
ルークは悔しかったが何も言い返せず、泣く事しか出来なかった。
その時、一緒にいたジェシカがその貴族の子供達に飛びかかってボコ殴りにしてしまったのだ。
後で問題になりかけたが、国王の執り成しで事なきを得た。
今となっては良い思い出だ…。

ジェシカは銃を捨てて腰に下げていた剣を抜くと、ルークを守るように立ちふさがって叫んだ。
「女と負傷者は急いで砦へ逃げ込めえぇ!!!動ける者は武器を取って戦うんだあぁ!!!」
「「「おぉぉーっ!!!!」」」
急襲に慌てふためいていた皆もその言葉に冷静さを取り戻す。
ミシェルが駆け付けてルークに肩を貸し、逃げるよう促した。
「さぁルーク様!ここはジェシカ達に任せて早く逃げましょう!」
「僕は大丈夫だ!残って皆と戦う!」

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