初恋の人は 11
その後の男優との本番シーンでも初々しさと天性の淫乱ぶりを随所随所に見せつけていて、ひと通り見た後シャワーを浴びるフリをして浴室に駆け込んで一発抜いた。それでもまだ彼女は戻ってなかったから、ちょっとホッとしている。
パソコンの電源を切ってDVDをしまった頃にインターホンが鳴る。戻ってきたならそのまま入ってくればいいのに、なんて思いながら玄関に向かう。
「コーくん、二度目の久しぶり。喜多岡由衣だよ」
そこに居るのは黒髪ロングのお嬢様。
昨日より控え目で上品な化粧の眼鏡姿。
服装も昨日のような今時の女の子と言う格好ではなく、落ち着いたブラウスとロングのスカート。
旅行鞄を2つも持ってきていて、それを玄関に運び入れて、彼女・・・
喜多岡由衣はニコリと笑う。
「当面生活に必要なものは持ってきたわ」
髪を染めてくるのも含めて実に用意がいい。
彼女が昔からテキパキとした優等生だった事を思い出す。
「とりあえず、デートしてから帰りにスーパーでも寄って食材買いましょう!」
ご機嫌な彼女が微笑みながら言う。
何かこう言うのが凄くいい。
恋人同士のような感覚だった。
「なんかすごく生き生きしてるな」
「コーくんに会えたんだもん、もう離れたくありません!」
「奇遇だな、実は俺もだ」
「うふふっ」
「今まで出来なかったこと、これからたくさんしたいな」
由衣はニコニコしながら言う。俺も昔に戻った気分だ。
俺も着替えていざデート。まずは由衣の希望で映画を観に行く。
「ちゃんとした映画デートなんて初めてだから楽しみー!」
俺に腕を絡めて上機嫌の由衣。
「初めてって?・・・」
「そう、おじさま達にポルノ映画に連れて行かれて上映中に弄り回されたりセックスしたりと言うのはあったわ・・・事務所でその話したら、今度そう言う企画物もありかなって」
やっぱりエッチな事は色々されていたみたいだ。
もしかしたら中学の頃から普通に映画も行く余裕無かったのかもしれない。
「今は友達と映画に行ったりするけど、男の人と映画デートは無かったわ」
「嬉しいな、これで由衣の初めてを1つ貰えた」
卑猥な映画デートと言うプレイでなく、ごく普通のデートは一切できなかったんだろう。
それなら俺で良ければいくらでも付き合う。
そして、由衣が見たいと言ったのは洋画のアクション物。
俺に合わせたと言うのではなく、本当にこう言うのが好きらしい。
丁度一番近い映画館にはカップルシートがあるから、そこに行く事にした。
「でも、条件反射で映画館に入ったら濡れそうだわ」
その笑みの中に少し結川きららが見えた。
職業上染み付いてしまったものかもしれない。それでもネタにして笑える彼女にとっては天職なのだろう。
2時間ほどの映画を見て楽しむ。
テレビの特集やCMで見て気になってた作品だから観れてよかったと思う。何度か由衣の手が膝に伸びていたのには笑ってしまいそうになったが、映画を見てる間はそれ以上のことはなかった。
「楽しかった!コーくんと一緒で良かった!」
由衣はご満悦の様子。