塒(ねぐら)-3
ほんま……
お前といたら調子狂うわ……。
「相原の部屋……入ってもええか……?」
初めての時は強引に部室でしてしまったけれど、今日はちゃんとベッドで相原を抱きたい。
俺達は抱き合ったままもつれあうように相原の部屋の扉を開けた。
六畳ぐらいのスペースに、ひしめきあうベッドと机とクローゼット。
そして部屋に不釣り合いなくらいの大きな本棚。
17歳の相原の青春の全てをつめ込んだような空間。
そこはまるで小綺麗な『巣』みたいだ。
相原の香りが充満する部屋。
まるで相原の胎内にすっぽり包まれたような甘酸っぱい幸福感が俺を満たした。
俺達はお互いの身体をまさぐりながらベッドに倒れこんだ。
相原の髪留めが外れて、濡れた黒髪がベッドの上に広がった。
「……明かり……消して……」
恥ずかしそうな相原。
「………いやや」
不思議と相原の前では、俺は子供のようにワガママが言える。
「……恥ずかしいよ……」
相原の言葉には耳を貸さずに、俺はスウェットを脱がしにかかった。
「……ねえ……ヤマトってば……」
頼み込むような相原の声があまりにも可愛いから、俺はますます意地悪をしたくなってしまう。
「……全部見たいねん」
俺のストレートな言葉に相原は顔を赤らめ目を伏せる。
俺もまた俺自身の言葉にあおられたように気持ちが昂ぶり、急に荒々しい手つきになって相原の着ているものを剥ぎ取った。
あっけないくらい簡単に相原は俺の目の前で生まれたままの姿になってしまった。
「……ダメ……」
相原はすばやく手で胸と薄い茂みを隠しながら、恥ずかしそうに身体を丸める。
透き通るような白い素肌。
すらりとのびた長い手足。
まるで芸術作品のような美しい肢体に俺は心を奪われた。
「……めっちゃ綺麗や……」
素直な感情が口をついて出た。
俺はTシャツとジャージを脱ぎ捨てて、恥ずかしさに身をよじっている相原の上に身体を重ねる。
両手を押さえつけて身体を強引に開かせ、首筋に唇を押し当てると、相原の身体は少しピンク色に染まったような気がした。
相原の胸と俺の胸。
相原の足と俺の足。
肌と肌が直に触れ合う感触に俺は意識が遠のきそうなほど幸せを感じていた。
「……あ…ん…ヤマト……」
相原の口から甘い吐息が漏れはじめる。
首から鎖骨、そして両の乳房の先端に息づくピンク色の花蕾―――俺は相原の身体をひとつひとつ確かめながらゆっくり唇を押し付けていく。
「……ん……あっ……」
俺の愛撫を深く感じとろうとするように、目を閉じ喉をそらす相原。
どこをどんなふうにされるのが好きなのか……相原の反応を全部覚えておきたい。
俺は、誰よりも深くお前を知りたいねん。
押さえつけていた両手を離してやると、相原は昂ぶりすぎた快感を紛らすように俺の頭を激しくまさぐってきた。
髪をくしゃくしゃにされているだけなのに、ひどく淫靡なことをされているような気分になって、俺の心臓はありえないくらいドキドキしてしまう。
俺は舌に新たな湿り気を与えながら、相原の白い身体の上をみぞおちから臍のほうへなぞるように這わせていった。
可愛いらしいそのくぼみに舌を入れてやると、相原はくすぐったそうに尻をうかせる。
その勢いで茂みに口を近付けようとすると、相原は急に身をひるがえし、拗ねたように身体を丸めながらこう言った。
「ずるいよヤマト……ヤマトも全部脱いで」
今まで見せたことがないような悪戯っぽい表情。
新しい顔を見せられる度、俺はまた新たにお前に恋をする。
相原のちょっと小悪魔めいた顔を見て、俺は裸のまま少しじゃれあいたいような甘い気分になっていた。