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異端児カラス
【学園物 官能小説】

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あんぱん-3


ヤナのあんな顔は初めて見る。
完全にいつものクールなペースを狂わされてオタオタしているのがなんだかかわいい。


「……あ?………旨っ……」


「でしょ?でしょ?ホラ食べれるじゃないですか!」


本当に嬉しそうな女の子。


「すごいな。真純って料理うまいんだな……」


素直に感心しているヤナ。
あの女の子は真純というのか。


そういえば、陸上部の練習の時にかいがいしく動き回っていたマネージャーは、あんな感じの子だったような気がする。


なんだか見ていて微笑ましい二人だ。



「ねぇヤナ先輩。今度の文化祭の時、誰と回るか決めてます?」


「文化祭……?いや……たぶん俺……サボると思う」


面倒臭がりのヤナらしい答えだな……と苦笑する。
さて真純はどうするだろうか?


「ダメですよサボったら!……決めてないんだったら、私と回ってください。絶対楽しいですから」


「ええ?……んな勝手に……」


「……ね?いいですね?お弁当のお礼ってことで!」




「もう……しょうがねぇなあ……弁当で脅迫かよ……」


意外とあっさり観念するヤナ。


「……そのかわり……次ん時は……絶対しいたけ入れんなよ……」


「なんでですか!?今おいしいって言ったじゃないですかぁっ!」



なんだか温かい物で胸がいっぱいになって、私はそっと階段をおりた。


握りしめた牛乳は、すっかりぬるくなってしまった。


今度からヤナにパンを頼むのは あきらめたほうがよさそうだ。


たぶん購買部のお姉さんには、以前より顔が利かなくなっているに違いない。


それに、ヤナ自身も購買部でパンを買う必要がなくなったみたいだから………。





中庭におりて芝生に腰をおろす。


上を見上げると、四角く切り取られた真っ青な空を、小さな鳥の群れが斜めに横切っていった。


袋を破いて、茶色くテカっているあんぱんを取り出すと、香ばしいいい香りがした。


表面にくっついている小さな粒々がなんだか懐かしい。


あんぱんなんて長いこと食べてなかったなぁ………。


潰れたところからはみ出したあんこを、押し潰されて少し硬くなったパン生地と一緒にパクリとかじりとると、口の中に優しい甘さがパッと広がった。


ぬるくなった紙パックの牛乳もなんだかいつもよりおいしく感じる。


あまり深く考えないで買ったけど、牛乳とあんぱんって相性がよかったんだった。


あんぱんと牛乳の素直な甘さに心が癒されるような気がする。


私はなんだか嬉しくなって、少し大きめのそのパンをあっという間に完食した。



―――ヤナ。
あんぱん、おいしかったよ。



今度ははじめからあんぱんと牛乳を買いに行こう。



きっと今日より、もっとおいしく感じるに違いない。







END


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