記憶-5
なす術を失って立ち尽くす俺に真純がギュッと抱きついてきた。
単純にこの女を好きになってしまえれば俺はたぶん楽になれるのだろう。
だがそれは無理な話だ。
相原博美の顔が頭をかすめた。
冷めた視線。
感情を封じ込めた唇。
その孤独な影に俺の本能は欲情する。
お前の孤独が俺にはわかる。
お前は俺と同じ匂いがする。
俺はずっと前からお前を見ていた。
それなのに―――――。
『俺……相原博美と付き合うことにしたわ』
ヤマトの口からその言葉を聞いた時、俺は耳を疑った。
転校して来た直後から、ヤマトの周りにはいつもたくさんの女がいた。
雑誌の手本通りに全身をキレイに飾り立てた空っぽの女たち。
もちろんヤマトがそんな女たちと真剣に交際しているとは思ってもいなかった。
本気で付き合うのはもっと違ったタイプの女なのだろうと思っていた。
だが、まさかそれがよりによって相原とは―――。
『……ふうん……でも……あの真面目な相原じゃ…一生ヤらしてもらえないだろ?』
俺の声は、少し冷静さを失っていたかもしれない。
喉がカラカラに渇いていた。
『……いや、実は昨日…な……』
少し照れたように頭をかくヤマト―――。
俺の頭の中で何かが壊れる音がした。
俺は真純をマットの上に押し倒した。
半分おろしてあった真純のジャージと下着を一気に足から抜き取る。
「……先輩……」
真純は期待と不安におののきながら、俺を真っ直ぐ見あげている。
俺は真純の膝を開き、震える肢体に自らの身体を重ねた。
未開の蜜壷に指を宛てがい、慎重にその入り口を探りあてる。
その部分は十分に潤ってはいるものの、まるで俺を拒絶するかのようにその門を硬く閉ざしていた。
半ばやけ気味で人差し指を無理矢理侵入させると、めりっという嫌な抵抗感があり、真純の顔が苦痛で激しく歪んだ。
「……真純……身体の力ぬいて……」
真純の中は想像以上に狭く、一本の指でさえも窮屈に感じるほどだった。
俺がゆっくりその指を出し入れすると、真純は唇をギュッと噛み締めて痛みをこらえている。
「……ううっ……ううっ……」
喘ぎ声とは程遠いうめき声。
俺は罪悪感で気が滅入りそうになってきた。
人差し指がようやく付け根まで入ったので、俺は親指の腹に愛液をぬりつけて真純の陰核を軽く撫でてやった。
「……あっ………んんっ……」
明らかに今までとは違う甘い声が漏れる。
俺は指を一旦抜いて真純の足を高く持ち上げると、濡れた茂みに顔を埋めた。
花弁を指で広げながらその中心に唾液で湿らせた舌を這わせていく。
真純の身体が快感で大きく波うちはじめた。
俺は陰核をくるりと指で剥き、ぷっくりと膨らんだその赤い果実を口に含んだ。
「……あっああっ……気持ちい……せ……先輩……」
真純の言葉に救われる思いで、俺は更にそこを深くくわえ込み、小刻みに舌で刺激した。
「……ふぁ……ふぁああ……ああん……」
真純は自ら腰を高く突き出し、いつもの真面目なイメージからは考えつかないようないやらしい声で鳴いていた。
これまでセックスの対象として真純を見たことは一度もなかったが、こうして乱れる姿を目の当たりにすると、普段セックスアピールがほとんど感じられないぶん逆に煽情的に思えた。
「……真純……」
俺はジャージとトランクスを脱ぎ捨て、自分でも意外なほどいきり立った肉棒を濡れたヴァギナに押し当てた。
「……ヤナ先輩……大好き……」
真純は自分に言い聞かせるように言ってそっと目を閉じる。
俺は真純の中にゆっくりと腰を沈めていった。