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異端児カラス
【学園物 官能小説】

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封印-5

上目使いにヤマトの顔を見る。


ヤマトは嬉しそうににっこり微笑んで私をじっと見つめている。


そ……そんな顔で見ないでよ。


駄目だ。
胸の鼓動がいつまでたってもおさまらない。
こんなに大きな音じゃ絶対気付かれる。


「……じ…じゃあ……入部申請書、先生にもらってくるよ。」


私は視線をそらしてその場から逃げようとした。


「――相原」


ヤマトの腕がこちらに素早く伸びてきて、不意に手首をつかまれた。


「……な……なにっ……」


急な展開に戸惑い、私の身体は硬く身構える。
ヤマトはびっくりするほどの力で私を引き寄せると、突然両手でぎゅっと抱きしめてきた。


頭が真っ白になり悲鳴をあげることも出来ない。
ただでさえドキドキしていた心臓が爆発しそうなほど高鳴っている。


ヤマトの大きな身体が私をすっぽり包みこんで、私の耳にヤマトの頬がぴたっとくっついてきた。


「……な……ごほうびちょうだい……」


息がかかるくらいの耳元でヤマトに囁かれ、一瞬頭がクラッとなるような感覚に襲われる。



ななな何?
何言ってんの?
ごごごごほうび?



「……キスしても……エエか?」



今まで聞いたことがないような甘い声で囁きながら、私が何も答えないうちにヤマトは強引に唇を重ねてきた。


固く閉じた私の唇を舌で器用にこじ開けて、奥へ奥へと侵入してくる。


口の中で逃げ惑う私の怯えた舌を追い詰め、押さえこむように自分の舌をこすりつけてきた。


身体の奥にビリビリと電流が流れ、痺れてしまった私は彼の腕の中で動けなくなってしまう。


唇がゆっくり離れ、ヤマトと私の視線が交差する。
身体が小刻みに震えているのが自分でもわかった。
のぼせてしまった顔はきっと耳まで真っ赤になっているに違いない。


「……あかん……むっちゃカワイイ……」


切なそうな声で言われて再び強く抱き寄せられ、重なる唇。
ヤマトの舌がさっきとは違う柔らかいタッチで私の唇の裏側へ回りこむ。


その甘美な感触に知らず知らずのうちに私は目を閉じてしまっていた。

私は何をやってるんだろう………。

脳みそがドロドロにとけて理性的な判断が出来なくなっていく感じ。

舌を絡められたり、軽く唇に吸いつかれたり、唇を柔らかな舌で優しく舐められたり……
何度も繰り返されるキスがあまりにも気持ちよくて、



『ずっとこのままサレていたい……』
そんな風に思ってしまった。


そっと唇が離れ、ヤマトが私の目をみつめながら大きな手で私の長い黒髪をなでる。


『……もっとキスしたい……』
私の唇が、全身がヤマトを求めてる。


「相原……」


名前を呼ばれて顔を両手で挟まれ、もう一度唇を奪われた。


ヤマトの息がだんだん荒くなって、私を抱く腕がもどかしそうに背中を這いまわる。


身体の中がジンジンして甘く疼き始めているのが自分でもわかった。




「……その顔あかん……たってきた……」


「え?」



気がつくと私のお腹のあたりにあたっていたヤマトの股間が硬く膨らんでいるのがわかった。


「ばばばば……バカッ!」


私は急に我にかえってヤマトを突き飛ばすと部室を飛び出した。


廊下を走って逃げる私の背中をヤマトの呑気な声が追いかけて来る。


「入部申請書自分で出しとくしな〜」


私は振り返ることも出来ずに廊下をずんずん走った。




教室に走り込んで自分の席にへたりこむ。


今の何……?
今のは何……?


自分の唇にそっと触れてみた。
ヤマトとたった今までつながっていた部分……。
心なしか充血して熱く火照っているように感じる。


唇からヤマトの身体の一部と私の身体の一部がお互いの身体の中に流れこんで入れ代わってしまったように、私の中でヤマトの存在がものすごく大きくなってしまったような気がした。




いや違う――。
私はずっとずっと前からヤマトのことが――多分好きだった。




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