封印-4
「――文芸部。オマエの大事な場所やろ?」
「…………」
不意に核心に触れられ胸がキュッとなる。
―――やめてよ。
アンタが私を語らないでよ……。
いつもフラミンゴに囲まれているアンタに、カラスの気持ちなんかわかるわけないじゃない。
カラスのことなんかほっといて。
なんだか鼻がツンとなり思わずヤマトの顔を見ると、見たことがないくらいシリアスな顔でじっとこっちを見下ろしていた。
予期せず目がまともに合ってしまい、私はみっともないくらいオタオタと視線をそらした。
耳の中に心臓が飛び込んだみたいに自分の鼓動がバクバク鳴っている。
いやだ。耳が熱い――――。
「それに俺、『何にもせえへん』なんて言ってへんやん。」
「――え?」
「次の機関紙発行、来月やろ?俺がむっちゃおもろい企画考えたるわ。………な!一緒にやろうや」
「………」
機関紙の発行月までちゃんと把握してるなんてちょっと意外だった。
ヤマトは私が想像してる以上に真面目にやってくれるつもりなのかもしれない。
確かにヤマトならみんなが読みたくなるような面白い企画を考えてくれるだろう。
ヤマトが入部したとなれば、これから部員もきっと増えるに違いない。
昨日まではあきらめモードだった文芸部の未来が急に明るく開けたような気がする。
ヤマトの思惑通りになるのはすごく悔しいけど……悔しいけど……反論する理由がなくなってしまった―――。