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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第3部 ご主人様への飛翔-7

7.扉の外の夢

ミッキーマウスのぬいぐるみを私の部屋にもって行き机の上におくと、私はまた物置部屋に戻ってママのラジカセを探しました。

ありました。
ピンク色の小さめで丸っこい形をしたラジカセが、すぐに見つかりました。
ママが、一緒に買いに行った私の好みに合わせて買ったのです。
カセットテープが一つ、入ったままになっていました。
取り出してみると、「麗、ビリーブ」とラベルにママの字で書いてあります。
「一日に一度は、必ず聴いてるのよ」と、いってくれていたのを思い出しました。
だから、いつもラジカセに入っていたのです。

部屋に戻って、早速聴いてみました。
最初は私のピアノ演奏だけ、
次はママの伴奏で私の歌
3番目は、私のピアノ伴奏でママの歌
4番目は、ママと私が合唱して、私が伴奏、
最後に、ママのピアノ演奏だけと、
♪ビリーブ♪が5回も録音されています。

ピアノは、ママの方が上手でした。
「すぐに、抜かれちゃうわよ」といってくれていましたが・・・。
懐かしいママの声が聞こえてきました。
済んだきれいな声で歌っています。
懐かしいママの顔が浮かんできました。
優しくてとってもきれいなママの顔です。
合唱では、結構きれいにハモっていました。
最後の「I do believe in future 信じてる」のところで、お互い顔を見合ってニッコリしながら歌ったことを、思い出しました。
私は、何度も何度も繰り返して、そのカセットテープを聴きました。

その夜、私は夢を観ました。
夢には、裸で首輪をつけ、後ろ手に縛られているママが出てきました。
でも、そのママは裸で縛られているのニコニコしていて、大きく口を開けて「ビリーブ」を歌っているのです。
それを見ている私の反応も、悪夢のときと全然違っていて、
「ママ、そうしていても、とってもきれいよ。
すごく、楽しそうに歌ってるわね。
ママ、そうしていることがすごく幸せなの?」
と問いかけています。

するとママは、歌いながら、大きくウンウンとうなずきます。
そっか、よかったと、私も微笑んでいます。
そして、
「でも何だか私、そんなママが羨ましくなってきちゃったなあ」
なんて、つぶやいているのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夢から覚めても、ママの幸せそうな顔は、まだ瞼に残っていました。
同じような情景の夢なのに、今度の夢は以前の悪夢とは全然違っていました。
イヤだとか苦しいだとかいうことはなく、むしろ微笑ましくてちょっぴり羨ましい感じが残っていました。
私は、悲しみの扉を開けて親しい人たちの見え方が一変したのと同じことが、夢にも起こったんだと思いました。
悲しみの扉の外の夢は、幸せな夢でした。





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