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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第3部 ご主人様への飛翔-11

10.ご主人様への飛翔

SMの世界へ羽化することを決心した私は、すぐにご主人様の奴隷にしていただこうと決めました。
パパとママがしていという信愛に基づくSMを私に教えてくだされるのは、ご主人様以外にはいないと思ったからです。

1月ほど経って、2度目に会っていただいたとき、私は奴隷にしてほしいとお願いしてみました。
でも結果は、
「まだ若すぎるよ。それにまだ『ジャン・クリストフ』を読み終わっていないんだからダメ、却下!」
と、すげなく断られてしまいました。

そこで、それからまた2月ほどして『ジャン・クリストフ』の読書会終了の打ち上げということで会っていただいたときに、 今度はと期待をこめて同じお願いをしてみました。
でも、駄目でした。
「私のSM相手には年齢認証があるんだ。麗さんは、まだ18歳になっていないからダメ、却下!」
といわれてしまいました。

「あのぅ、それじゃあ、18歳になったら、奴隷にしていただけるんですか?」
とお訊ねすると、
「麗さんはどう思う?」
と逆に訊かれてしまいました。

私は、ご主人様のお顔をじっと見つめました。
ご主人様も、優しい目で私を見つめ返してくださいました。
ご主人様は、信じていいよといってくださっているように思えたので、
「私、18歳になれば奴隷にしていただけると信じます」
と、お答えしました。

「じゃあ、それまで待ってくれるね?」
ご主人様は、そういってくださいました。
「はい」
私は嬉しくなって、そうお答えしました。

こうして、18歳になるまで奴隷にしていただくのを待つことにしたのですが、
その後メールでもお会いしての会話でも、ご主人様が私を「麗さん」と「さん」づけで呼んでくださるのが、すごく居心地悪く感じるようになりました。
ご主人様は私を対等に扱ってくださっているのですが、私は呼び方だけでも「麗」と呼び捨てにしていただくて、たまらなくなっていたのです。

それでも私のわがままだからとずっと我慢していたのですが、5回目にお会いしたときとうとう我慢しきれなくなって、名前を呼び捨てにしてほしいとお願いしてしまいました。
「どうして、そう思うのかな?」とご主人様に訊かれたので、
私は、生意気なことは言いたくないと思ってそれまでご主人様にお話していなかった、あの日パパとママのSMについて、自分なりに考えたことをすべてお話ししました。

そして、
「私は、奴隷として、ご主人様にお仕えしたい!
お互いに無防備な状態を曝け出したまま、肉体と精神で同時につながりたい!」と、その時以来ずっと思っているからですと付け加えました。

ご主人様は驚いたような顔で、私をじっと見つめられました。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しの間、時間が流れました。

やがて、ご主人様が口を開かれました。
そして、
「わかった。年齢認証はパスだ!
麗は、たった今から私の奴隷だ!
来月会うときから調教する!」
と、きっぱりいってくださったのです。
私は、嬉しくて天にも昇る心地でした。

そして、初めてご主人様に、
「はい、どうもありがとうございます。ご主人様」
と口にすることができたのです。
こうして私はこの日から、身も心も捧げたいと心の底から思えるご主人様に、奴隷としてお仕えすることを許され、ご調教していただけることになったのです。

 
         第3部 M女への羽化 完   第4部へ続く


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