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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-8

8.自殺の衝撃

それは、バレンタインデーの前日のことでした。
朝登校すると、チョコを誰にあげるだの、どうやって作るだのの話題で盛り上がっていました。
私は、大事件以来誰にもあげなくなっていたので、話の輪から外れていました。
チャイムが鳴るとすぐに教室に入ってきた担任の先生の様子が、いつもとまるで違っていました。

沈んだ様子で、顔をこわばらせていて、ものすごく硬い表情でした。
そして、朝の挨拶が済むと、一言一言噛みしめるようにして、私たちと同学年の別のクラスの子が昨日亡くなった、と告げられました。
そして、ふた呼吸ほどおいて、
「非常に残念なことに自殺で、遺書によるといじめなどではなく個人的理由のようです」
と付け加えられると、涙をこらえて絶句されました。

ついさっきまで、華やいだ気分で満たされていたクラスの雰囲気が、先生のお話を聞いたとたん、一瞬で凍りついてしまいました。
誰も何も言えずに、沈みきっています。
やがて、シクシクとすすり泣く声や押し殺したようなうめき声が、あちこちから聞こえてきました。
みんな、一緒に学んできた同学年の子が自ら命を断ったという、この上なく重
い事実によって、打ちひしがれていました。
私は、泣くことさえできず、ただ茫然としていました。

私と同じ学校に通っていて、キリスト教の教育も受けた同学年の子が自殺してしまった・・・。
    ・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・
だったら、死にたいと思っているのに、
私はどうして・・・
どうして・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・
自殺しないの?
そんな考えが頭をよぎった瞬間、私はものすごい恐怖感に襲われました。

そして、声を出しそうになったのを必死でこらえて、先生の許可を得てトイレに駆け込みました。
トイレに入ると携帯の電源を入れ、ホッとラインのアドレスを出し、ご主人様に私の叫びをメールで送りました。
  
「助けてください。
   同学年の子が自殺して、
   私、どうしていいかわかりません。
   お願いです。
   会って、私の話を聞いてください。」

そのときの私は、東京タワーのすごく高いところにいることの恐怖を、初めて実感したようなものでした。
だからもう、命綱のホットラインに頼らずにはいられなかったのです。               




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