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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-7

7.麗救出作戦

ご主人様との『ジャン・クリストフ』の読書会は、すごく順調に進みました。

小説は1巻から10巻まであり、各巻がさらにいくつかの章に分かれているので、その章ごとにお互いに読んだ感想を述べながら議論するというやり方でしたが、私は読み進むうちにどんどん引きこまれ夢中で読むようになりました。
そして、ご主人様の感想や私の感想への意見などにより、内容について深く考えるようになりましたし、ご主人様が内容に関連して話題を拡げられるので、目を瞠る思いで感心してばかりいました。

こうして、12月の始めの出会いからすぐに始まったメールでの読書会は、年を越し1月も過ぎて3ヶ月目に入っていきました。
死にたいという気持はずっと残ったままでしたが、興味をもって取り組めるご主人さまとの読書会の方に心が向き、そのことを考えずに済むようになりました。
またなるべく多く読書会に時間を割きたいと思うようになったので、学校の授業にそれまでよりずっと集中するようになったので、勉強の方もしっかりできるようになり、親友の美月さんに「このごろ、怖いくらいに集中してるね」といわれるほどでした。

でもこのときの私は、死にたいという気持と自殺の制約と相克は続いていて、ただご主人様が読書会というとりあえずやるべきことを用意してくださったの
で、かろうじて精神のバランスを保つことができていた状況だったと思いま
す。

私には、当時の私を危機的な精神状況から救ってくださるご主人様の活躍は、なぜか東京タワーのすごく高いところまで登ってしまい、身動きできなくなっていた私を見事に救出してくださったことに、例えられるように思います。
身動きとれないでいる私は、いつバランスを崩してしまうかわからないので、近寄るにしても相当慎重にしないと危険です。
そこでまず、私に声をかけてくださいました。
それが、最初に下さったメールでのメールで話そうという、私への呼びかけです。

私がそれに応じると、私が心を落ち着かせていられるようなことをしようと提案され、同時に命綱としてホットラインをもうけてくださり、何かの事情で私が心のバランスを崩したときでも、それに頼ることで安全が確保されるように
配慮してくださったのです。
そして、私と読書会をすることによって、声をかけて話をしながら一歩一歩上に登り、私に近づいてきてくださいました。

私のご主人様への信頼が高まるにつれ、命綱のホットラインへの信頼度も高くなり、ご主人様がどんどん頼もしくなってきます。
「ついには勝つべき」日が来るかも・・・と、少しずつと思えるようになってきました。
そのうちに隠しているのが心苦しくなって私は、私がまだ16歳で高校生だとい
うことを、ご主人様にメールで打ち明けました。
ご主人様は、初めからそのことを察していらしたようでした。

こうして、ご主人様による私の救出作戦は順調に進んでいたので、何も起こら
なければホットラインを使わなくても、いずれ私は救出していただけただろう
と思います。
でも、事は起きたのです。

そしで、東京タワーの高いところに身動きできないでいるような、私の危険な
精神状態からのご主人様による救出作戦は、急激な進展を余儀なくされること
になってしまうのです。




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