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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-9

9.私のゴットフリート叔父

その日の授業は、平常通り行われました。
でも、みんな沈痛な気分からなかなか抜け出せず、なんとか平静を保って授業
を進めようとされている先生の声だけが、シンとした教室に響いていました。

私は休み時間になるたびにトイレに行き、携帯を開いてメールをチェックしました。
そして、3度目のチェックをしたとき、ご主人様からの返信が届いていまし
た。

「麗さん、すごいショックでしょうね。
動揺するのも、無理はないと思います。
でも、大丈夫です!

今日は無理だけど、明日の昼間会いましょう。
学校を早退しなければならないだろうけど、緊急事態だから許してもらうことにしましょう。
詳しいことは、今夜8時ころから連絡を取り合って決めましょう。

もう一度いいます。
大丈夫です!
会って2人で考えれば、どんな問題もきっと解決できます。
だから今日も、ショックに負けないで、しっかり授業を受けてください。
では、また、今晩。
     麗さんのゴットフリート叔父になりたい Σ  」

読み終わって、私は携帯を胸に抱きしめました。

ゴットフリート叔父は、『ジャン・クリストフ』に出てくるクリストフの叔父さんで、彼に音楽の心を、そして人間としての心を教え、心の支えになってくれる人です。
私は以前読書会のメール交換で、ご主人様に
「私にも、ゴットフリート叔父のような人がいてくれたらいいな、と思います」
と書き送ったことがあります。

そのときは、
「そう、誰だって、彼のような人が身近にいてほしいと思うよね」
とのお返事だけでした。
でも、ホッとラインで送ったSOSに対しては、私のゴットフリート叔父になりたいといってくださっているのです。

私は感激しました。
そして、携帯を抱きしめたまま、
   明日、会ってもらえる。
   私のゴットフリート叔父になってもらえる。
   一緒になって、問題を解決してもらえる。
   だから、大丈夫!
   私は、もう大丈夫!
と、自分の心にいいきかせるようにして、思いました。
すると、それまで続いていた胸騒ぎと緊張感が、だんだんと鎮まっていきました。

その晩、何回かメール交換をして、会う時刻と場所を打ち合わせました。
そして私は、私だとわかってもらうために顔写真を送りました。

すると、ご主人様からは、
「思っていた通り、可愛い顔をしていますね。
私も写真を送ってもいいんだけれど、ありきたりの顔なので似た人と間違えて
も困るから、一目でわかる目印を用意します。

中年のオジサンがいたら、もっている紙袋に注目してください。
その紙袋に、あなたなら一目で私だとわかる目印をつけておきます。
その目印が何であるかは、会った時のお楽しみにしましょう」
というお返事が返ってきました。

ええーっ、どんな目印なの?
と戸惑いましたが、ご主人様が結構ユーモアのある方だと知っていて、私をリ
ラックスさせるためのご配慮だとわかるので、別に心配はしませんでした。




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