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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん12-4

「此処はね…旅籠みたいな物で男の人と女の人が一時、憩う処だよ」

僕の説明に勘のいいお菊ちゃんはその頬を赤らめてる。

「じゃあさ…買った服、早速着てみようか」
僕ももちろん、エッチな事はしたいけど。
洋服姿のお菊ちゃんを早く見てみたい…これも本音であった。

「背を向けて頂いてもよろしいですか?」
買ってきた洋服や下着を手に恥ずかしそうに僕を見ているお菊ちゃん。
エッチをするのと…着替えを見られる事のはあくまでも別次元であって。
着替えを見られる事はやっぱ恥ずかしいみたい。
この辺の奥ゆかしさは本当に可愛いよ。

「着方が判んなかったりしたら言いってね」

僕の言葉に生真面目な様子でコクッと頷くお菊ちゃん。

そんなお菊ちゃんには意地悪は出来ない。
僕は言われた通りに背中を向けてお菊ちゃんが着替え終わるのを待った。
ゴソゴソと聞こえる絹づれの音。
暫くして…。

「着終えましたよ」
弾む様なお菊ちゃんの声。

その声に振り向く僕。
「わぁ!可愛い!」
ピンクのワンピース姿のお菊ちゃんはキラキラと輝く様に可愛いくて…僕は心からの叫び。
日本髪もお菊ちゃんが自分で結い直せる程度に乱してる。
けど…その後ろの方にはコレばかりは外せない。
って感じで僕の買ってあげた簪がチョコンと差してある。
ホントに…本当に可愛いお菊ちゃんだ。

「少し…気恥ずかしゅうございますが、今度はこの格好で『でいと』なる物をしとうございます」
ハニカミながら、そう口にするお菊ちゃん。
その様子からはピンクのワンピースを気に入った様子がハッキリと感じ取れる。

「そうだね…お菊ちゃん!その格好で『でいと』しようね」
渾身の笑みでお菊ちゃんを抱きしめる僕。
抱きしめながら…。
お菊ちゃんの頬に自分の頬を重ねながら…。

「俊樹さま?」
抱きしめたまま、動かない僕を訝しむ様に…。
小さな声でお菊ちゃんが僕の名を呼んでる。

「少し間…こうしてよ」
お菊ちゃんを抱きしめたまま優しい囁く僕。
その僕の瞳からは…。
お菊ちゃんに決して見せられない涙がポロポロと溢れ出ていた。


つづく


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