投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

愛しのお菊ちゃんの最初へ 愛しのお菊ちゃん 85 愛しのお菊ちゃん 87 愛しのお菊ちゃんの最後へ

愛しのお菊ちゃんラスト-4

「相変わらずお優しい方ですね」
振り向きもしないけど、鵬蓮さんも小さく笑っているみたい。
「ただ…」
スッと冷たくなる鵬蓮さんの声。

「ただ?」
僕にも俄かに緊張が走る。

「実はこのままでは貞代さんは成仏する事はありません」
結構…いや、かなりショッキングな鵬蓮さんの言葉。

それって…。
「どうして!?貞ちゃんは顕らかにいい子になってますよっ!!」
ついつい冷静ではいられなくなってしまう僕。

「これは貞代さんのせいではありません」

「じゅあどうして!?」

「暗黒霊…貞代さんを縛る物です」

暗黒霊?聞いた事のない言葉を口にする鵬蓮さん。
けど暗黒霊って何だろう?

「暗黒霊とは人間であった時も邪悪な心の持ち主が、死して他の霊に影響を与え怨霊化させる霊の事です」
また僕の思考の先回りをする鵬蓮さん。
だけどそんな物がいたなんて。

「貞代さんの場合は生前の貞代さんの命を奪った男が暗黒霊となり死後の貞代さんをも縛りつけているのです」
静かだけど鵬蓮さんの言葉…青い炎のような怒りが感じられる。

僕だって!そんな奴は許せない!
と…。

ドン!!
「何たる外道!断じて許せませぬ!」
僕の後ろから…

振り返ると…。
えぇぇ!?
「お…お菊ちゃん!?」
いつのの着物姿に今日も白鉢巻、白タスキのお菊ちゃん。
プリプリしながら薙刀の柄をドンって床についてる。
「ど…どうしたの?お菊ちゃん!ってか何でここに?」

「いえ…俊樹さまに危機が迫っているの感じて」
そう言って恥ずかしそう目を伏せるお菊ちゃん。

「そうだったんですね」
嬉しげ声を上げて立ち上がる鵬蓮さん。

「なにが!?なにが!?」
お菊ちゃんと鵬蓮さんに挟まれながらもイマイチ意味の判らない僕はオタオタ。

「菊さんは霊界に往かずとも…守護霊の資質を得つつあるようですね、初めまして菊殿…鵬蓮と申します」

ニッコリと微笑みながらお菊ちゃんを見つめる鵬蓮さん。

お菊ちゃんも恭しくお辞儀を返している。

僕も鵬蓮さんの言わんとしている事を何となく理解した。
なんか…お菊ちゃんとの流れはすこぶるイイみたい。
けど…。
「はっ!?アレは?」
霧雨のフィルターの向こうに凶々しい気配を感じる僕。

「来ましたね」
再び外に目を向けると右手に持った数珠をグッと握り静かな闘志を漲らせる鵬蓮さん。

「俊樹さまは菊がお守り致します!」
気配に向けて薙刀を構えるお菊ちゃん。

そして…。
「私も一緒に戦います!」
いつしか姿を現した貞ちゃん。
初対面のお菊ちゃんと微笑み合い力強く頷き合ってる。

僕だって!
みんながついてるし。
そのみんなを…大切なみんなを。
この僕がみんなを守ってやるぞっ!!
たった今からへタレは卒業だ!
「いくぞっ!暗黒霊!」
僕たちは光の矢となって霧雨の中に飛び出していった。


愛しいお菊ちゃん:完
『(仮)暗黒霊ハンター僕&お菊ちゃん』でまたお会いしましょう。


愛しのお菊ちゃんの最初へ 愛しのお菊ちゃん 85 愛しのお菊ちゃん 87 愛しのお菊ちゃんの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前