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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん12-3

「あっ!これ?これねぇ…転んじゃってさぁ、僕ってうっかり者だよね」
笑いながら答える僕。

「だっ…大丈夫でございますか?」
チョコチョコっと僕の横に並んだお菊ちゃん。
心配そうに僕の横顔を覗き込んでる。

「うん…大丈夫、でも後でお菊ちゃんがホッペにチュウしてくれたら直ぐに治るよ」
必要以上に笑顔と声を弾ませる僕。

「まぁ」
頬を赤らめたお菊ちゃん。
恥ずかしそうに目を伏せちゃった。
あんなにエッチな事をしていながらも…ホッペにチュウの話で照れるなんて。
お菊ちゃんって…本当に可愛いよ。
可愛い過ぎて、心が痛いよ。
つい眼差しが遠くなっちゃう僕。
お菊ちゃんと知り合ってから、まだそんなに経っていないのに…。
なんかずっと前から一緒にいたみたい。
お菊ちゃんと…お菊ちゃんとさよならなんて出来ないよ。

「……樹さま、俊樹さま」
ハッ…!
呆然と宙を見つめている僕の顔を…。

キョトンとしながら僕を見つめているお菊ちゃん。 「如何なさいました?」

「何でもない…何でもない…さあ!行こう!」
僕はニッコリ微笑むと…迫り来る現実から逃げる様に。
お菊ちゃんの手を引いて小走りに駆け出していた。


「これなんか可愛いんじゃない?」
洋服を選んでいる時はもちろん。
下着を選んでいる時だって僕は人の目なんて気にしないで…。
もちろん服や下着だけじゃない白い二ーハイや赤い靴。
少女趣味満点の可愛らしいポシェットなど。
お菊ちゃんに似合いそうな物を買いまくった。

「これでお支払い下さいませ」
お会計の時、お菊ちゃんがお江戸ランドで貰った商品券を懐より取り出してきた。

使い方は教えてたけど。
此処で使おうとするとは…。
本当に気配りのよく出来るお菊ちゃんだ。

でも買ってあげたい僕は…。

「いいから…いいから」
笑顔で財布を取り出す。

「なりませぬ」
キリッとした顔で僕を見つめるお菊ちゃん。

いいから――。
なりませぬ――。
そんな押し問答が暫く続いたけど…。
結局、僕が折れた。

「こう見えても菊は結構、頑固者なんですよ」
ニコニコと微笑むお菊ちゃん。

「ホントだね」
僕も釣られて笑いだしていた。

こうして僕は、お菊ちゃんと過ごす時を心から楽しんだ。


そして僕は生まれて初めてラブホテルに入った。

もちろんお菊ちゃんだって初めてだから…。
「此処はどなたのお屋敷でしょうか?」
ちょっとオロオロ。


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