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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨8¨-2

「みんな行っちゃったね。お祭りだから楽しみたいんだよ、きっと」
「そ、そうかもね」

賢司も速人も何を言ってるんだよ。
へ、変な事言うから、意識しちゃうじゃないか・・・
頑張れっていうのは、早く自分達みたいになれ、そういう意味なのか?
単にさっさと手を繋いじゃえっていってるんじゃないよね。

「私達はどこ行こっか。成敏くんはどこか行きたいところってある?」
「僕は、別に・・・いまのとこは無いかな。妹尾さんはあるの?」
「無いよ。あ、困ったね、どっちも見たいものが無いんだ」
「そ、そうだね」

こんな時は男の方が女の子を引っ張っていかないといけない。
分かってはいるんだけど、僕はそれが簡単に出来る様なたちじゃないんだよ・・・

「じゃあ適当に見て回ろうか」
「うん、そうしよう。その内興味が出てくるだろうし」
「考え方を変えるの。何も見たいものが無い、ってのは見つける楽しみがあるって事だよ」
「あ・・・う、うん、いい考え方だね」

自分のはっきりした意見をもたず他人に流されがちな僕にとって、妹尾さんのその言葉は衝撃的だった。
そんな驚いた訳じゃないけど、でも・・・
今まで、そんな考え方があるなんて、思った事も無かったかもしれない。
だから結構驚いた。

「行こ、成敏くん」

言うのと同時にすたすたと歩きだしたので、遅れない様に慌ててついていく。
沢山人がいるからはぐれちゃったら大変だな。

「おう、ひはひぶりらな」

歩き始めてすぐ焼きそばの出店があり、賢司が口いっぱいに頬張っていた。
まるでリスみたいにほっぺを膨らませてて、それを見てる葉川さんにつられ、思わず笑ってしまった。

「成敏くんもこれくらいいけるでしょ」
「う、うん。やろうと思えば」
「ホント?言ったね、じゃあ・・・すいません4つ下さい、大盛りで!」
「待ってよ、いきなりやるの?!勘弁してってば」

妹尾さんとのやりとりを見て賢司が笑っている。
なんだか見守ってる様な感じで、優しい笑い方だった。

・・・よし、頑張るぞ。


1階は一通り見学し終わったので次は2階に行く事にした。
さっきは出店エリアだったけど、ここは遊び場が中心になってるみたいだ。
ヨーヨーすくいとか輪投げとか、まるでお祭りみたいで楽しそうだった。


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