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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨8¨-3

「何やってんのよヘタクソ!全然当たってないじゃない!」
「次だよ!次はうまくいくから、だからもう一回やらせろ、ほら」
「ふざけんな!あたしはもう出さないから。これで最後っつったじゃん」
「お前が捧げた硬貨はDSで返してやるから!だからもう一回」

しばらく歩いてたら、射撃で遊んでる織田さんと速人を見つけた。
会話から察するにまた織田さんのお金でやってるらしい。

「なんか速人くん、賭け事にはまってるダメな人みたいな言い方だね」
「もう手遅れっぽいけどね・・・織田さん将来苦労しそう」

あっちはあっちで楽しんでるみたいだ。
他に楽しそうなゲームは無いかな。どこも結構混んでて並ばないといけなさそう・・・

「なんか、あまり目ぼしいものは無さそうだね。結構繁盛してるみたいだけど」

妹尾さんはあまり興味が無い様に見える。
もしかして飽きてきてる?まずいな、他にどこか楽しそうな物は無いだろうか。
焦り気味にパンフレットを捲っていると、あるページが目に留まった。

これは・・・どうかな。
でもいい刺激にはなりそうだし、やってみるのもありだろう。

「ねっ、ここ行ってみない?楽しそうだよ」
「ん?これ・・・お化け屋敷じゃない。成敏くん大丈夫?」
「得意じゃないけど・・・でもたまにはいいでしょ。2号館の方でやってるみたいだし、やってみようよ」
「ホントに大丈夫?私はいいけど、泣かないでね。もし泣いたら噂はあっという間に広まるよ」

どうやら僕は妹尾さんに弱虫に見られてるらしい。
これは男として、ちょっと悔しいかも・・・
平気さ、遊園地とかと違ってプロの人がやるんじゃないし、あんまり怖くないだろう。

「妹尾さんの方こそ怖くないの。これから本当に行くよ」
「うんうん、平気。多分っていうかまず泣かないと思う」

普通に遊ぶのもいいけど、学祭のこういう楽しみ方もありだと思い始めていた。
賢司も速人も今日は自分達優先なんだ。だから、僕もそうした方がいい。


「結構並んでるね」
「怖いもの見たさ、っていうのかな。これ」

待ってる間、講堂の中から叫び声が聞こえてきた。
蔦をあしらった装飾や血糊で不気味に彩られたこの壁の向こうには、一体どんな世界が待ってるんだろう・・・
思ったよりも進むのが早くすぐに僕達の番になった。

「さあ、入ろうか成敏くん」
「いよいよだね・・・」

ドアを開けるといきなり真っ暗だった。
中は気味の悪い音楽がかかっていて、血に塗れた人形が並べられている。
全身ならまだましだけど、角を曲がると首だけ置いてあるのはかなり怖い。
目線が合うと尚更怖いよ。

「うわぁ・・・こりゃ気合い入ってるね」
「そう?よく出来てるけどね」

早くも足取りが遅くなり始めた僕をよそに、妹尾さんはいたって冷静だった。
強がってるんじゃないかと甘く見ていた僕が愚かだったな・・・


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