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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨4¨-1

地獄の期末試験が終わり、やっと夏休みが始まった。

「・・・暇だなぁ」

だけど、いざ始まってしまうと有り余る時間をどう使うべきか分からなかった。
取り敢えず学校は休みの間も開放してるので、登校はしてるんだけど・・・

「なんかやりたいこと見つけろよ、少年!」

隣にいた速人が僕の頭をわしゃわしゃしてきた。

「このままだらだら過ごしてもつまらないよね。でも、何していいか分かんないよ」
「そうか、可哀想にな。やりたい事が分からないってのは焦るよな」

妙に速人は楽しそうだ。
普段からへらへらしてるけど、少し前から浮き足立ってる様に見える。

「・・・いいことでもあったの?気持ち悪いよその笑顔」
「はっはっはっ、まあな!現在進行形といったとこだ」

つい何週間か前、みかづきでへこんでたのが嘘みたいだ。
織田さんとの事で悩んでたけど、もしかして賢司のアドバイスが実を結んだのかもしれない。
速人がこんなに浮かれてる理由はそれしかないと思う。他に思い当たる節は無い。

「よっ、成敏」

するとタイミング良く、かどうか分からないけど織田さんがやってきた。
僕に手を上げて挨拶したけど速人には目もくれない。

「うおい、誰か忘れちゃいませんか」
「成敏いまなんか言った?」
「いや、僕は何も」
「やだ怖い。きっと透明人間かお化けだよ」
「てめー俺が見えねえのか。このやろー」

織田さんが被ってた帽子を奪う大人気ない速人。単なる冗談なのに・・・

「あ、妖怪法螺吹き小僧だ」
「うるさい、この妖怪おとこおんなめ!」

速人はまるで子供のけんかみたいな返事だった。
馬鹿と言われたら馬鹿っていう方が馬鹿、という子供がいるけど、そういう子に似ている。

「珍しく遅刻しなかったね。ああ、成敏や賢司と一緒だからか」
「だって遅れたらうるせえだろ。ほら、いくぞ」

あれ、どこかに行く約束をしてるのかな。
織田さんはどうやらただ話をしに来た、という訳では無いらしい。

「ちょっと図書館いってくんね。賢司によろしく」
「じゃあな成敏、お・さ・き・に」
「あ、うん、行ってらっしゃい2人とも」


並んで歩いていく2人を見送る。
いったいいつ約束してたんだろう?
速人のやつ、全然そんな事は口にしなかったのに・・・


「悪い成敏、ちっと出かけるわ。学校には戻んないかもしんねえ、じゃあな」

賢司が喫煙所から戻ってきたと思ったら、置いてあったリュックを背負いながら言った。


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