DOLLHOUSE〜快楽と残滓〜-6
「あの涙が嘘とは言わん。言わんが、自分が閉じた陶酔の中にいることを自覚してないだけだ。仕方ないことと、泣けば快楽の後ろめたさも半減する」
「後ろめたい…」
私はご主人さまの言葉を反芻した。
分からなかった。
「快楽と感情は別だって…」
「そうさ、ユリはその辺がわかってねえ。一緒くただ。だけどこういうのは理屈じゃネエ。分かっていてもどうにもならん」
また苦笑。ご主人さまも同じなのか。
ご主人さまは私に向き直るとくちづけ抱きしめる。
ネグリジェの上からようやくふくらみ始めたちいさな胸に手を置いた。
「はぁ… 」
気持ちいい。
「お前はお前の才覚で、俺を籠絡し続けるといい。ユリが好きなら、そうやって養ってやればいい。おまえの主は俺だが、この家の主はおまえだからな。」
そんなふうに言わないで。
「…あぅん…」
だけど、そんな言葉も考えも快楽の中に消えていった。