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『ケセナイキズナ』
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『ケセナイキズナ《終編:True》』-4

氷柱/2 † I find! †

 テストが終わって、僕らは二人で遊びに行った。目的地など決めていない。
 途中から眠気眼の光輝も加え、騒いだ。みんな、今度はいつ集まれるかわからない。
 僕も、今日だけは、世間体なんて考えなかった。
 馬鹿みたく笑って、歩いて、大人気ないようなことを、たくさんした。
 この日だけは、本当に、楽しんだ。
 何をやっても、笑ってしまった。

「じゃあ、オレ仕事だから」

 光輝が帰っていった。
 もう空は暗くなっていた。

「もう少し遊んでいようか?」

 玲奈がわくわくとした瞳で言う。
 胸が締まる。

「ん……ちょっと、行きたいところがあるんだ」

 ボクと玲奈は、喫茶店『かがやき』へと向かった。

「やぁ、いらっしゃい」

 聖先輩が、僕らを出迎えた。
 稼ぎ時だというのに、相変わらず店内はがらんとしており、静かに流れるBGMが、この店をより寂しくさせていた。

「どーもー」

 玲奈がおどけ、そのままいつもの席へと腰を下ろした。

「こんな時間に珍しいね。もう夜も更けてきてるのに」
「たまには、そんなときもあります」

 僕が答えると、聖先輩は、作り物の美しい笑顔を向けた。

「あ、何か適当に頼んでおいて、涼。私、お手洗いに行ってくる」
「あぁ」

 玲奈がトイレへと向かう。
 聖先輩は、グラスに水を注ぎ、それを僕に差し出した。

「一つ、君は正解した。あと一つだね。あの子を救えれば良いね」
「……あと一つは、なんですか?」
「これは驚いた。思い出してたんだね」
「目を背けなければ、当然です」
「あと一つは簡単さ。『あの子』を救えばいい」
「玲奈をですか?」
「さぁ……それは、君が判断すべきだよ。『あの子』とは、誰のことを指してるのかもね」

 聖先輩の、相変わらずの笑みが、とても恐ろしかった。

「誰か気付くはずだよ。君はもう、出会っているから」

 玲奈が戻ってきた。

「じゃあ、瀬上。頑張ってね」

 玲奈に、軽く会釈をすると、聖先輩は僕らから離れ、キッチンへと向かった。


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