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『ケセナイキズナ』
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『ケセナイキズナ《終編:True》』-8

 『死支綴輝身往抹氷《シシテキミオマツ》』/3

 煩いサイレンの音が、響く。
 自分の体は、自由が利かない。
 まるで、自分の体ではないように。
 まるで、死を知らせるように。

「よく出来ました」

 透き通るような声。
 これで、満足だろう?

「君は、あの子を救わなければいけなかった」

 あぁ、意識が途切れそうだ。

「君は、どちらにしろ、死ぬ運命《さだめ》。命は、有効に使わないと」

 何度も繰り返させたのは、このためか。

「その通り。あの子らは、僕のお気に入りなんだよ」

 くだらね。
 意味わかんね。
 なんで、僕が救わないといけないんだよ。

「さっきも言ったろう? 君は死ぬんだ。今日という、この日に。それなのに、誰の命も救わず、無駄に生きるのは、どうかな?」

 ははっ。たった、これだけのために?
 俺は、僕は、あんな運命を繰り返したのか?
 あんな小さな子を一人救うために、玲奈を置き去りにするわけだ。

「大丈夫。すぐに玲奈も君を追いかける」

 何となく、あいつの、作り物のような笑顔が思い浮かぶ。

「君はよくやってくれたよ。やっぱり、人生は小説によく似ている」

 ははっ。本当に、これで終わりなのか?
 僕は、こんなことのために、命を使うのか?
 自分のために、使えないのか?

「何を言っているんだい? 君は、何度も自分のために使ったろう? 前の運命では、自殺したろう? それ以前でも、君は自殺しているようなものなんだ。何回も命を自分のためにつかってるんだ。君は、人の役に立って、喜ぶはずなんだけどな」

 誰かが寄り添う。

「ほら、君の恋人の腕に抱かれ、死になさい。きっと、安らかだよ?」

 くだらねぇ……。
 絶対に、テメェに、復讐してやる。

「ははっ! 無理無理」

 ちくしょう……。
 もう、生きていられないのか?
 死にたくない。死にたくない……。


 僕は……死にたくないよぉ……。




 完


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