『ケセナイキズナ《終編:True》』-2
「ねぇ、涼。私のこと、好き?」
確信めいた笑みを浮かべ、彼女は僕に問う。
「あぁ、もちろん」
玲奈に視線を戻す。
―――死なないで。
―――生きていて。
―――やめて、彼女を、犯さないで。
―――ここにいて。
―――僕を……置いていかないで。
何かがフラッシュバックする。
目の前の玲奈が、汚されていく。どろどろの、汚い何かに。
見ているだけで、胸が締まって、吐き出しそうになる。彼女の腕を掴んで、逃げ出したくなる。
「どうしたの、涼?」
「なんでもないんだ、玲奈」
下から覗き込む彼女を抱きしめて、生きているということを確認する。
「君は急にいなくならないよね、玲奈?」
「何言ってるのよ、涼。馬鹿だね」
あはは、と彼女は笑いながら僕を抱き返す。
「私は急にいなくならないよ、大丈夫」
子供をあやすように彼女は言う。
何かが、頭の中で光る。
「僕は……」
―――僕は、未来を思い出しているのか?