投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

魔法使いの告白
【女性向け 官能小説】

魔法使いの告白の最初へ 魔法使いの告白 49 魔法使いの告白 51 魔法使いの告白の最後へ

春告鳥 2-5

「あのね」

美里さんが僕を見つめて言った。

「初めに、知られて一番つらいことを自棄になってぶちまけて。でも圭さんは全部受け入れてくれたから。つい、考えないで物を言ってしまいました。だけど、きっと、嫌なことも我慢しないでいられそう」

彼女が微笑む。

「それでいいよ。そうでいて…」

僕に心を開いてくれている。

「じゃあ、これは嫌なことじゃない?」

僕は腰を引いてから、ゆっくり突き上げた。

「あぅん… 嬉しいの」

彼女は甘い吐息をこぼしながら、柔らかな表情で笑った。

「ごめんね。どうしても比べちゃうの。その…抱きしめる体格が違うな…とか」

今度は彼女は言葉を選んだ。そんなのいいのに。

似たような経験を比べてしまうのはどうしようもない。
それは僕も同じだ。敏感で反応のよい彼女の身体。僕自身がさっき思い出してしまったこと。

ふ。
僕は息を吐くように笑った。

「気にしないで。猥談も対応しますよ」

目元にキス。彼女は瞬きして微笑む。

「違うの。圭さんが良いの。…そうじゃなくて」

彼女は赤い顔をしてそうと、言葉を続けた。

「今考えると、私、ずっと振り回されていたから、圭さんは優しいな、とか。なにもかも圭さんの方が良いの。もっと早く圭さんに会えていたらなって…そしたら、私、もう少しキレイなまま圭さんにあげられたのにね…


こんな風に傷ついてしまうより前に彼女に会っていたら。

考えても詮無いこと。

たぶんこのタイミングでなければ、僕らはすれ違ったままだったと思う。

だからいい。

「何度でも言いますよ。美里さんはとても綺麗です。どのオンナノコより」

僕はわざと比べるような言い方をした。
彼女だけが卑屈になる必要はない。

「経験豊富そうですね」

彼女がくすくすと笑う。特に嫌味は感じない。

彼女が笑うと腹が動くみたいで、僕を締め付ける。ああ、いい。

「そうでもないですよ。歳の割には。色恋に疎くて臆病なんです。どうしてもね。性分なんでしょうね。…大したことはないですけど。知りたいですか?」

僕はどうしても慎重になってしまう。
それは未婚のまま僕を生んだ母のことは関係ない。僕は僕だ。そう思い込もうとしてもダメだった。
先のことまで考えてしまって恋愛自体に億劫になってしまう。

今までつき合ったオンナノコは3人。

32年でコレならかなり少ないと思う。もしかしたら、美里さんよりも少ないかもしれない。
最初の人とは長くつき合っていたし、数を誇るつもりはない。


魔法使いの告白の最初へ 魔法使いの告白 49 魔法使いの告白 51 魔法使いの告白の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前