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魔法使いの告白
【女性向け 官能小説】

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春告鳥 1-5

「あれは姉で旦那も子供もいるって言ったら、全然見えないってさ」
「うふ。うれしい。って、そんなの言ったの?」
「言ったよ。姉貴とつき合ってると思われるなんて絶対勘弁」
「それはそうね。…ま、いいか」

バラしたことに関して姉貴も納得したようだった。

「今回は妙に絡むね。前の時はそうでもなかったのにさ。」
「美由紀ちゃん?それとも恵子ちゃん?」
「…両方」

覚えてはいるのか。

「店がらみのコは続かないと思ってたから」

さらりと言う。
そうかもしれないな。妙に納得する。

「今回も店がらみでしょう。姉貴が知ってる段階で」
「あんたがマヌケだから店がらみになっちゃっただけだもん。さっさと告白してつき合うなり、フラれるなりしてれば、店がらみにならなかったし私も知らないままだったわよ?」
「う。」

反論のしようもない。

「店で会うコはね、大抵作り込んだ虚構の圭ちゃんが好きなのよ。スマートで渋い圭ちゃんが。別にそれがニセモノってわけじゃないけど、あんたの本質でもないから。あのコはぼんくらステディのせいで恋愛感情とまではいかないけど、あんたに好意的にみえたし。ほら、はじめて店に来たときに別人みたいな圭ちゃんを看破したわけでしょ。そんぐらいにはあんたを見てたのよ、彼女。それと、あんたのユルい波長と合いそうな気がするだけ」
「ユルい…」
「あと、私があのコ好きよ。可愛いわ。だから構うのよ。まあ、あんたの彼女についてとやかくいうつもりはないんだけど。ね?なんて名前?」
「北野さん。北野美里」
「美里ちゃんね。じゃ、帰るわ。あとよろしくね」

姉貴は聞くだけ聞いて帰っていった。
なぐさめてんだか、傷口に塩ぬりこんでんだか。

「…なんだよ。あれ」

僕は濡れた手を拭いた。





北野さんが店にきた。それも独りで。

僕の心臓の鼓動が辺りに聞こえるかと思うぐらいドキドキしていた。
こういう場所に独りで来るような性格ではない、と思う。イレギュラー。

姉貴からのオーダーは『特製スクリュードライバー』。
つまり、オレンジジュース。

持っていった時にみた彼女の顔色はひどく悪い。
盗み見る彼女の表情はかたく、時折見せる笑顔も痛々しく感じる。

おそらくは。

でも、僕は喜べなかった。
早晩こうなると思っていたくせに。
チャンス到来。と思っているくせに。

畜生!

大して時間は経っていないのに、彼女は出ていき、扉が閉った。
僕はあわてて追いかけた。

外に出ると、彼女が振り返った。


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