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魔法使いの告白
【女性向け 官能小説】

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魔法使いの告白 2-2

腕を組んで街を歩く。
彼と。
それだけでもちょっと嬉しい。

「ここ」

孝文は黒いドアを押して入っていく。
看板には『BuleMoon』。
入るとすぐに、ルーレットが目にとまった。
5人の客が座っている。
ルーレットにボールを投げ込むのは赤いチャイナドレスを着た綺麗な女の人だった。
客がグリーンの台の上にチップを置いていた。
私は孝文に手を引かれ、ルーレットを通り過ぎると奥のテーブルに進み座った。

「いらっしゃいませ」

奥に座ったディーラーが応対をする。
黒のスーツにネクタイ。髪をバックに流した男がトランプを切る。
慣れた手つきでカードを切る様子はTVで見るマジシャンのようだった。
意思の強そうな眉。切れ長の目。
渋い。かっこいいけど、そのスジの人みたいだ。

「ねえ、ちょっと。これ、マズイんじゃないの」

孝文の袖を引っ張って、小声で言った。
カジノは日本では非合法な筈。

「大丈夫だよ。ゲームセンターみたいなもんだし。なに飲む?」
「ヤバいって…」
「換金はしないので、大丈夫なんです。チップが溜まったらあちらの景品と交換になります」

こそこそ言ってたのだけど、ディーラーに聞こえたみたい。
私はなんだか恥ずかしくなって、教えてくれなかった孝文をにらんだ。
男は棚に並んだ景品を示す。
チップの枚数により、選べる商品が違うみたいだけど、特に高価そうなものはない。
ラッピングされたぬいぐるみとか、お菓子。BlueMoonのロゴの入ったアメニティセット。
リボンをかけたランの鉢。箱に入った小物もあるが、特にブランド品でもなく。

「ほらな。なににする?」
「なにって…」
「甘いのでいい?」

メニューらしいものはなかった。

「…うん」

私は返事をしながら、きょろきょろとしていた。
慣れない場所にとまどう私を孝文は楽しんでいるみたいで、余計にうろたえてしまう。
なんかずるい。

「俺はジントニックで、こっちは甘いのを。あとチップと」

孝文が、2000円を渡しながら言った。

「かしこまりました」

ディーラーは奥の男に一言二言話すとこちらに戻ってきた。
料金は前払い、らしい。
スッ。
きっちり指を揃えてテーブルにチップを置く。10枚積み上げていた。

「ほいよ」

孝文からチップを五枚渡されて。ええ?

「あちらに参加されますか?」

ルーレットは勝敗が分かれたようだった。
また改めて仕切られる。


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