『ケセナイキズナ《前編:For Sacred Goddess》』-8
綴説/Memory
「お前、将来どうするんだよ?」
誰かが誰かに言う。
「どうっすかなぁ……とりあえずプログラマー目指すよ」
僕の声に似ている人が応えた。
「そうじゃないって。玲奈のことだよ」
「あぁ……ん〜……」
「玲奈は来年就職、再来年はお前だ。どうするんだ、おい。言っちまうかプロポーズ?」
「あはは……実は安いけど指輪は買ってるんだよ」
「はぁ? どこに隠してるんだよ、言えよ、吐けよ、述べろよ、ハゲ」
「ハゲじゃねぇよ、飲んだくれ」
二人はとても楽しそうに話していた。親友という言葉では足りないくらいに、お互い楽しそうに、嬉しそうに……。
「実はこれなんだよ」
僕の声に似ている人は、机の引き出しの奥の奥から小さな箱から取り出す。
「うぉーい。ダイヤ?」
「あぁ、小さいけどね。給料を二年も貯めた甲斐があったよ」
「お前最高。マジ面白い!」
「どういう意味だよ」
「いつ渡すんだ?」
「無視かよ……。今度のテストが終わったら渡そうと思ってる。クリスマス前か、クリスマスか。まぁ、どちらにせよ、テストが終わったあとのデートで」
「ひゃっほー! 最高、最高だぜ! このモテ男!」
「うるせぇー」
「絶対だからな! 約束だぞ!」
「はいはい、わかったよ」
彼らは大いに笑った。