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天むす
【片思い 恋愛小説】

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天むす〜後編〜-1

私の名前は後藤春花

ワケあって上京してきた生まれながらの長崎っ子です

ちなみに、星座はてんびん座。

雨音のようにうるさいパチンコ屋でバイトの先輩に聞かされた事実。バイト先で昔働いていた“愛しのあの人”は、実は不倫でクビになった過去を持っていた。

しかし、衝撃的な事実はこれだけじゃなかった…

今日はバイトの早番だった。早番は9時前には店に来て、ミーティングから始まる。

「今日は母の日と同じくらいお客さんが来るはずです。気を引き締めるように。以上です。」

店長は意外とあっさりした性格だ。年齢は30代前半と見られるが、若々しい面もあり、たまに20代にみえることもある。

「それと、後藤さん。」

店長が私を引き止めた。

「はい。」

「一昨日は大変だったわね。……それだけ。」

私は一瞬寒気がした。
一昨日の事を何故店長が知っているのか…。何かイヤな予感がした。

AM10:00

フローラル三日月が開店した。

開店直後から、予約の客が大勢で集まってきて、レジ前に行列ができた。

レジには店長と田中先輩が

店頭には宮林先輩とベテランの博州さんが配置づけられている。

私は当然、そんな前線には出してもらえず、裏でアレンジの材料一式を揃えていた。

こういう日は、博多のラーメン屋くらいフル稼働しないと間に合わない。あちこちで声が行き交っている。まさに戦場だ。

「後藤さん、アレンジ一式田中に渡して!!」

「宮林さん、レジに回って。」

これだけ動き回っているのに、清掃で上品に回らなくてはならない。今日は裏方の私でも危なかったくらいだ。

いつの間にか夕方の6時になっていた。

客足は徐々に減っていったが、裏方の私はたまったゴミを片付けたりと、まだ動き回っていた。

「後藤……」

店の外でゴミをまとめていた私に宮林先輩が小声で話し掛けてきた。

「な、なんですか!?」

「王子様…来てるよ…。」

………!!

先輩はそう言って私に後ろを向くよう指示した。
私はすぐに振り向いた。


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