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天むす
【片思い 恋愛小説】

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天むす〜後編〜-4

「正しいことばかりが恋愛じゃないの。そこが難しいところね。」

「……そうですね。ごめんなさい。色々首突っ込んだりして…。」

ごめんなさい。本当は自分のために首を突っ込んでしまっただけなんです。
なんて言えるはずもなく、店長は生姜焼き定食を食べて帰っていった。
食べ終わった後に割り箸を整える所が妙に大人らしく感じた。

もうあの二人のことに首を突っ込むのは辞めよう。私は心にそう決めた。

そして……

1ヶ月後、私は入ったばかりの給料を増やそうといつものパチンコ屋に寄った。

結果は惨敗…

人生そんなに甘くはないか…

予算分を使い果たした私は、残ったお金で缶コーヒーでも買おうと自販機まで重い足で向かった。すると、喫煙コーナーに宮林先輩がいた。

「あっ、先輩……。」

正直あまり会いたくなかった。先輩は私を目をガン見すると、急にニヤけてこう言った。

「アンタ、また負けたな…。」

「そうですよ。負けましたよ……。」

「そういえば、店長、再婚するって知ってた?」

「赤坂さんとですよね。昨日聞きました。めでたしめでたしですよね。」

そう、あの後、店長と赤坂さんは前の夫と話しをつけ、ついに再婚するにまで至ったのだ。
前の主人は、とても辛かっただろうが、よく承諾できたものだ。

「で、陰で勝手に失恋しちゃったアンタはその結婚式には出るつもり?」

先輩はやっぱりイヤミったらしだ。こんな事しか言わないんだから。

「……出ますよ。誘われたらの話ですけど。」

何はともあれ、あの二人には幸せになって欲しいと思っている。

それはそうと、また失恋か…
こんなんじゃあ何のために上京してきたのか解らないじゃない。

ちなみに、こんな時でも、天秤座の運勢は満開です。

もう占いなんて……

《おわり》


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