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天むす
【片思い 恋愛小説】

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天むす〜前編〜-3

次の日、私は定食屋のバイトに向かった。このバイトは私にとって休日のようなものである。客は昼と夜に少し来るだけで、他の時間帯は基本的に暇だ。

午後3時…
店長はテレビに熱中している。私は客用の椅子に座ってケータイのアプリゲームで暇つぶしをしていた。

ピルルルル………

私のケータイに着信が入った。

“フローラル三日月”

花屋からだ。私は店長に一言言って、電話に出た。

「もしもし…」

「もしもし、宮村です。」

店長からだ。

「後藤さん、明日ね、遅番だったけど、ちょっとアレンジの予約が多いから早番にして手伝ってくれないかな?」

早番は朝9時、遅番は昼の12時なのであまり時間帯は変わらない。遅番に甘えてぐっすり寝てから行こうと考えていたが、明日はさっさと帰りたいと思い。引き受けることにした。

ちなみに、アレンジの手伝いといっても、フラワーアレンジメントの土台(オアシス)を決まった大きさに切ったり、飾りセットの組み立てをしたり、包装の手伝いをしたりと雑用の単純作業しかないので、格好がつかない。

そして、午後9時
今日は月に何度かある客が全く来ない日だった。
何を考えているのか、私はバイトが終わった後、隣町までパチンコを打ちに行った。

ただでさえ金欠なのに、パチンコなんかに行ってしまう。何てヤツだと自分を叱りながら、ひたすら流れる画面と見つめ合った。

「後藤!!」

ちょうどリーチにかかっている時、誰かが私の名前を呼んで肩を叩いてきた。

「宮林さん…。」

フローラル三日月の先輩の宮林さんだった。女でギャンブルに染めるのは、職場内でも私と宮林さんくらいである。

「どう?調子は……?」

「いや、今日はダメですねぇ。出ませんよ。」

「とか言って、ガンガン回してんじゃん。前にも言ったけどね、ダメだと思ったら、その場は身を引きな。人生もまた、それしかり、だよ。」

この先輩はいつも言ってる事が無茶苦茶だ。こないだなんて、先輩がタバコを吸っている時に、たまたま側にいただけで

“コラ、アタシの煙タダで吸ってんじゃないよ。”

《いや、でもこれって副流煙なんじゃ…。それにここ、みんなが使う更衣室ですよ。むしろ、立場逆…ですよね?》

そう言うと

《はぁ?アタシは金払ってタバコ買ってんだよ。その煙をタダで吸っちまったアンタとなんか損してるアタシ、どっちが悪いっての?》

私は「だってマナーなんじゃ…」と言おうとしたが、この人に口で勝てる見込みがないので諦めた。


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