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先を生きるもの
【悲恋 恋愛小説】

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先を生きるもの-7

「あなたは賢い人です。とても上手く物事をこなすことができるでしょう。でも、それはどんどんあなたに矛盾を生じさせ、いつか作り上げてきた自分が壊れるときが来ますよ」

「ははっ……」



 くだらないな。くだらないよ。



「俺は正しい。何よりも正しいんだ。お前に何がわかる? この先の俺の人生をお前は知っているのか? お前は視えているとでも言うのか? 違うだろう。お前には何も視えないんだ!」



 あいつの看病を振りほどく。あいつはいとも簡単に倒れ、こちらを見ていた。



「あんたには何もわからないだろう! 何も理解できるわけないだろう! お前にわかるか? 親には装飾品のように扱われ、あいつらの意思にそぐわなければ役立たずと影で言われる苦しみを!

 だから俺はやってやったさ! あいつらが満足するような子を演じてった。だがな、それが何になったと思う? あいつらはそれによってより調子に乗っただけだった。こちらの意思なんて大人には伝わらないんだ! 大人は理不尽なことを押し付けてきただけだ……お前だって同じさ! ははっ……何が教師だ、何が大人だ……! お前らには何も教える権利なんてないだよ!」



 怒りに任せて、気持ちをぶつける。

 納得いかないじゃないか……。大人に何の権利があるって言うんだ。子供には何もない。いいや、無いわけではない。きっと親が、大人が隠しているんだ。子供とは良い装飾品だ。だから大人はそれを隠すんだ。権利というものがあると大人たちにとってはとても邪魔だから、それを隠すんだ。俺たちは何もできないでここにいるしかないんだ。あいつらに従うしか道はない。そんな汚い世界だ。こんなにも醜い世界だ。

 畜生……腹が立つ。



「私にはわかりますよ、その気持ち」



 温和な笑顔で言ってくる。



「私もそうでした。あなたと同じ高校生の頃。私は家の決まりごとにうんざりして、何となく街を歩いていました」

「あんたの昔話なんて興味なんてないんだ!」

「そうしていると、無性に悲しくなってくるんです。周りの人々はきっと、自分の好きなことをやって、自分の進む道を決めているんだなって考えちゃって」


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