先を生きるもの-3
「総理大臣になりたいのなら、やはり文系のほうが向いているのでは?」
「別になりたいわけじゃないし……。それは適当に書いたんだよ。今はまだ決まってないし」
「ん〜……何か展望みたいなものはないのですか?」
五月蝿い……奴だ。
「もっと、こう……今学んでいるものを生かせるような……」
「くだらない」
「え……?」
大きな瞳を見開き、こちらを見る。優等生だと思っていた俺がこんなことを言って、さぞかしショックはでかいでしょうね。上辺だけを見ているあなたにとっては。
「くだらないよ、あんた。俺はまだ決めてないんだ。とりあえず大学は行く。それでいいだろ? じゃあね、先生」
立ち上がって、生徒指導室を出る。そのときに、後ろから「くだらない……か」と哀惜のこもった声が聞こえた。
は……何も知らない屑は、これだから困る。何が教師だ……馬鹿馬鹿しい。俺の親と何も変わらない、屑だ。