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先を生きるもの
【悲恋 恋愛小説】

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先を生きるもの-16

六 別道



 冬。

 学校は自主勉強期間ということになり、学校には来る必要がなくなった。俺は先生が帰るまでの間、自宅でずっと勉強し、先生が帰る頃に一緒に帰るという生活を繰り返していた。

 それはとても幸せだった。

 それは何よりもかけがえのない時間だった。



 そして、合格発表の日。

 俺は緊張半分余裕半分で自分の第一志望校へと向かった。久しぶりの緊張感を連れての移動は、俺に夢を見させてくれた。

 大学生にでもなれば、他の人の目を気にせずに先生と一緒にいれることができる。そう考えただけで、胸が踊り、半分の緊張感を上回って打ち消してしまうほどだ。

 自己採点でも問題はない。本当に変なミスをしていなければ、落ちるわけがない。

 大学の前。合格者発表の掲示板。



「あった……」



 確かにある、0217。何度見ても、間違いない。

 初めての感動だ。こんなに自分の努力が実ったのが嬉しかったことはない。だって……これで俺は先生と胸を張って付き合っているといえるのだから。



 俺はすぐさまに大学から高校へと引き返した。そして、すぐに先生へとそのことを報告した。



「おめでとうございます!」



 まるで自分のことかのように喜んでくれている先生を見て、さらに俺は嬉しくなった。



「これで、俺は先生と……」



 とここまで口にしてすぐに口を噤む。



「一緒になれるね……」



 そして小さく続きを呟く。

 でも、先生の表情は一転して、暗くなった。


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