先を生きるもの-17
「……はい。そうですね」
「どうしたのさ?」
「なんでも……」
「なんでもないわけないじゃないか」
先生は俯いて、少し考える。そして、意を決したようにこちらを見た。
「私は来年から本州へと赴任するんです」
「……え?」
何を……?
そんなこと今まで一度たりとも、言ってなかったじゃないか。
二人で居るときも、未来の話をして、一緒に笑いあったのに。なんで、今更?
「ごめんなさい……」
「あんまりだよ……そんなの」
何のために頑張ったんだ。
俺はなんのために……。
「義一君……?」
「くだらないよ……もう帰る」
だって、こんなの……残酷過ぎる。