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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-78

「そこなんです。脳は検査の結果何も問題ありません。しかし、?その脳自体が既に異常だったら? 脳が信じられないほど正常を保ち続けるという異常だったら? かなりややこしくなります」

 つまりは、脳が既に異常であり、それに連動して体が異常になったかもしれないということか。だが脳は正常であると検査で裏づけされている以上、無闇にいじる訳にもいかない。八方塞がりだな。

「何度も言いますが、これは仮説です。もっと違う原因があるかもしれません。全力で検査を続けます」

「よろしくお願いします……」

 医者は病室を出て行った。

「?Unknown Sick《アンノゥンシック》? 知らない病気か」

 医者が出て行って、少ししてから口を開く。

「正和?」

「この病気の名前、これがいいんじゃないか?」

「今はそんなこと……」

「これでいい……」

 瞼を閉じる。ゆったりとした闇が俺を飲み込んだ。











 もう入院してから何日経ったかもわからない。それでも俺は生き続けている。

「調子はどうだ?」

 姉は俺の横に椅子を置き、座っていた。いつの間にいたのだろうか……。

「問題……ないよ」

朦朧とする意識の中、姉に言う。

「そうか……。藤堂は今日来れないらしい」

「そうなんだ……」

あいつが来ないなんて珍しい。いつも学校があろうとも必ず来ていたのに。

「すまないな、休んでいたのか」

「気にしないで」

もう、休んでいるのか起きているのかもわからないんだ。

「そうか……りんごがあるが、食べれるか?」

「いらない」

短い言葉でしか返すことができない。本当はもっと話したいんだ。会社は相変わらず好調なのか、無理をしていないのか、雅也とは最近どうなのか。


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