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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-73

十 想始《おもいはじめる》





 付き合い始めてから数週間が過ぎ、俺は勇気を振り絞り病院へと診察へと来ていた。

「本当に具合がいいのかい?」

「えぇ。最近は吐血や嘔吐、咳も減りました」

「こんなことを言うのは酷だが……かなり悪化しているよ。このままだと一般生活ができなくなるかもしれない。いや、もうできなくても不思議じゃないんだがね……」医者は俺のレントゲンとカルテを見ながら声を低くして言う。

「しかし、弟は大丈夫だと……」

 姉が口を挟む。

「力になれなくて申し訳ない」

「……」

やっぱり……俺の体は壊れ続けている。このまま治ってくれればと思っていた俺の淡い希望を、この真実が絶望に変えた。もうわがままで自宅でいられる時期ではない。それは俺と藤堂の関係の終焉を意味していた。

頼むから……もう少しだけ……。

心の中にその言葉が何度も反響し、うるさいくらいに響く。

「どうだった、まーちゃん?」

 待合室に戻ると、藤堂が不安な表情で尋ねてくる。

 何も言わずに、首を横に振る。

「入院することにする」

「そう……なんだ」

「安心しろ、藤堂。とあるコネを使ってな、有名な外科医と内科医をここに集めることができるようになった」

「本当ですか?」

 藤堂の表情が明るくなった。

「あぁ、本当だ」

 姉さんも力強くうなづいた。

 でも、俺の中では、終わりが近いということを確実に知らせる鐘が鳴っていた。

「一回家に帰って準備する。行こう」

 二人に行って、俺は前へ出た。

 終わりという名の、道を臆せずに歩くために。



部屋の中で気持ちの最終的な整理をした。姉と藤堂はすでに部屋にはいない。二人は藤堂の家で待ってくれている。俺は病院に持って行く下着や着替え、暇つぶしをできるように、いくつかの小説、それらを大きめのカバンへと詰め込んだ。そして、部屋を掃除する。特に汚れているわけではないのだが、もう帰れないだろうから。机の中を整理しているときに、あるものがあった。哀愁にも似た悲しみが心に現れる。

藤堂の目を盗んで、買ったものだ。


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