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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-56

 頭が痛い。喉が渇く……。

誰もオレのことを理解できないのはわかっていた。でも、雅也だけはいつか理解してくれると思っていたのに……。本当の友人だと、思っていたのに……。

 俺の周りから誰もいなくなっていく。姉さんも、雅也も、藤堂も……。

これでいいんだ、と思うしかない。大切なものはなるべく無いほうが死ぬときに未練が残らない。そして、みんなを傷つければ、誰も悲しまないですむ。

 寝室に戻ると。仰向けに倒れ、変わりようのない天井を眺めている。食事はしていない。不思議と空腹感はなかった。あらゆることに失望し、あらゆるものを失った。これで心置きなく死ねるんだ。もう何も未練なんてない。でも、何でだろう。泣きそうになるんだ。孤独には慣れているはずなんだ。周りから人がいなくなるのは慣れているはずなんだ……できることならこのまま死んでしまいたい。でも、俺の体は死んでくれない。吐血もない、呼吸困難もない、嘔吐感も何もない。こういうときに限って、俺の体は何も反応しない。

「まーちゃん」

聞こえるはずのない声が聞こえた。幻聴だと思うことにした。

「もう六時だよ、晩御飯は?」

枕元にある時計を見た。確かに午後の六時になっている。いや、そんなことよりも、藤堂が何故ここにいるかが問題だ。

「なんで、いるんだ?」

「あ、寂しかったの?」

藤堂は少し嬉しそうに言う。

「学校の中間テスト前で、色々と大変だったから来れなかったの」

 何でお前は俺の近くにいれるんだ。あれだけ傷つけたのに。お前は、どうして、そんな笑顔を俺に向けることができるんだ。

「どうしたの? 固まっちゃって」

「なんでもない」

「晩御飯は?」

「今は作る気分になれないんだ」

「じゃあ私が作るね」

「好きにしてくれ」

にこやかに笑い、藤堂は寝室から出て行った。藤堂が出て行ったのを見計らって、大きくため息をつく。

失ったと思っていた。強姦まがいのことをあいつにして、傷つけて、もう俺のことなんて嫌いになったと……思っていたのに。

「冷蔵庫に何もないんだけど!」

 藤堂が台所で大声で言った。こいつは、相変わらず俺に迷惑をかける存在なのだと思い知らされた。



 結局晩飯は出前を取ることにした。藤堂がピザがいいと言ったので、それにした。だが、さすがにこの体調のときにピザはきつい。


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