Unknown Sick-51
「まーちゃん?」
そっと、藤堂の手が伸びる。
「触るな!」
それを払いのける。そして立ち上がり、藤堂と距離を取る。
「何も知らないくせに、何もわからないくせに! わかったような口を利きやがって!」
「何も知らないから、教えて欲しいの」ゆっくりと藤堂は歩み寄る。
「教えたところで何もできないだけだ!」
胸倉を掴む。しかし、藤堂の瞳はこちらを真っ直ぐに見つめる。恐怖の色はない、こちらを見透かすような、俺が一番嫌いな瞳。
「何も知らないくせに……!」
「大丈夫だから、話してみて」
まだ、言うつもりなのか……。女はみんなそうだ。将来有望そうな男を見つけ、一時の快楽にその身を沈め、男を手駒に取ったような気でいる。
そっちがそのつまりなら……これ以上ないって程に傷つけてやる。もう俺に近づきたくなくなるようにしてやる。
胸倉を掴んだまま、藤堂を乱暴にベッドに放り投げる。「きゃっ」と短い悲鳴をあげる。そして、倒れている藤堂の上に馬乗りになった。
「なに……」
さすがに藤堂も怯えているようだ。
「やりたいんだろ? 女なんて甘い言葉で男を騙して、結局はやりたいだけだ。だったら、それに乗ってやるよ」
「ちが……」
寝巻きは簡素なものだ。脱がせるのも面倒くさい。適当な部分を掴み、力の限り破る。
「やめて!」
藤堂は平手を打とうと腕を伸ばしたが、俺はそれを止める。
「俺もご無沙汰だ」
下着を乱暴に剥ぎ取ろうとしたが、藤堂も力の限り抵抗する。
「いやっ!」
「どうした、自分から誘っておいて、その反応は。それとも、そういうプレイが好きなのか?」
「違う……」
「じゃあ抵抗するなよ。したいんだろ?」
「違うよ……まーちゃん」
藤堂の瞳に涙が溜まりだす。それは明らかな哀れみ。俺を見下し、救済の手を差し伸べてやろうかという傲慢な哀れみ。
「くだらない……」
下着を剥ぐ。藤堂の大きいとは言えない乳房が一瞬見えたが、すぐに藤堂は隠すように手で覆う。