Unknown Sick-49
「具合でも悪くなったのか?」
「もうやめてくれ! これ以上俺を惑わせないでくれ!」
「え……」
その優しさを与えられれば与えられるほど、俺はあなたの弟だと思い知らされてしまう。あなた自身に、俺の想いを否定されてしまう。もう嫌なんだ。手に入らないものが目の前で、美しく輝いているのを眺め続けるのなんて。
「帰るよ……」
「正和……」
「もう、疲れたんだ」
姉は目を伏せるだけで、何も言わなかった。