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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-47

 葬儀はあっという間に終わった。両親の遺産は二人で分け合い、今住んでいる家もそのまま使うことにした。

「私はお前の高校卒業と同時に、本州に会社を移す。お前はどうするんだ、正和」

「似合わない喋り方だね、姉さん」

「これからは私がお前の保護者だからな。威厳を出さなければならない」

「はいはい」

「で、どうするんだ」

「本州の大学を受けることにするよ」

「わかった」

 姉さんは変わった。今までは女らしい部分が多かったが、葬儀が全て終わってから話し方を変え、強い眼差しはより強く、更に強い責任感を持った。

 そんな強い美鈴に、再び正和は惹かれてしまった。











「確かに、私は変わった」

 相変わらずの穏やかな笑みは、精巧に作られた人形のように思える。

「だが、変わらない人間なんて、この世に存在しないだろう」

「そうだね」

 ひゅう、ひゅう、ひゅう。

 風が俺を呼ぶ。こちらに来い、飛んで自由になれ、と。

「死ぬ必要なんてない。生きて、私の傍にいてくれ」

「……くだらないよ」

「話してくれ、正和。お前のことを、お前の悩みを。私ができる限り、望みを叶えてあげるから」

 あなたに俺の望みなんて一生叶えられない。叶えられてしまえば、あなたは壊れてしまう。狂ってしまう。

「無理だよ。あなたには、何もできない」

「やってみなければわからないだろう」

「それなら、俺を殺してくれよ」

 姉の表情が固まる。

「苦しまないように、あなたの手で殺してくれ」

 ひゅうひゅうひゅう、ひゅっ、ひゅうひゅう。相変わらずの風の声。

「それは……」

「できるだろう。心臓を何かで突けばいい、ここから俺を落とせばいい、鈍器で思い切り俺の頭を殴ればいい」

「私は……」

「できる限り協力してくれるんだろう? だったら、殺してくれよ」

 あなたが殺してくれるのなら、俺は許せるから。あなたに殺されるのなら、俺は、悔やまないから。


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