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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-31

六 狂鳴《きょうめい》





 何もない日は嫌いだ。生産性がなく、生きるうえで非効率だ。しかし、何もすることがない。バイトは辞めてしまったし、趣味といえるものは読書しかないが、家にある本は全て読んでしまっている。テレビも面白いものがない。その結果、俺はソファーに座って煙草を吸っている。

 俺が起きたのは午後の十二時を少し過ぎた頃。そして目の前には、一時を過ぎているのに未だに眠っている藤堂。相変わらずの規則正しい寝息は、聞いていてこちらを不快にさせない。

 だが、この暇な時間には耐えられない。少しでも暇を潰そうと、立ち上がって藤堂を揺らす。

「起きろ」

 ん、と不機嫌そうな声を発する。

「起きろって」

 んむ、と変な声を発する。

「犯すぞ」

「んぁ……?」

 ……返事ともなんとも言えないものを発する。

「さっさと帰れ。もう一時を過ぎたぞ」

「んう……」

 ゆっくりと瞼を開き、大きなあくびをする藤堂。そして「おはよう」としっかりとしない口調で言った。

「起きたならさっさと帰れ。邪魔だ」

「今何時?」

「午後一時だ」先程述べたことを大きくため息をつきながら言った。

 それを聞いて藤堂は宙を見る。そして、少しずつ目を見開いていく。

「あぁ……今日必修の授業あったんだ」

 さも残念そうに言った後に、「ま、いっか」と付け足した。

 どうやらこいつは自分にとって都合の良い事しか耳に入らないらしい。

「シャワー借りるね」

「勝手にしろ。浴びたら帰れよ」

「その後に私とデートしようね」

 いい加減にしてほしい、本気で。





 そして何故か俺と藤堂は小高い丘に来ている。そこには一面に蒲公英が咲き乱れていた。しかし、ほとんどが子孫を残すために姿を変えていた。

「ここね、私の大学の近くなの」

「言われなくてもわかる。さっき近くを通った」

 天気は良く、暑すぎない。秋晴れという言葉がぴったりだと言えるほどに快適だった。僅かに吹く風は自然の香りを乗せ、タンポポの種をそっと撫でながら宙に誘う。


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