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Unknown Sick
【悲恋 恋愛小説】

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Unknown Sick-17

四 狂笑





 あれからというもの、姉は毎日俺の家に来た。時間はいつもばらばらで、そろそろ夜が明けるという頃に来たりもした。邪魔に思え るほどだった。俺を心配してのことだろうが、来るたびに俺の体調を尋ねてくるのはいただけない。俺は問題ない。あの時は、偶然だ。それ以外考えられない。

「それで、今日は何も問題なかったか」

 夕方の七時、珍しく早く来た姉はいつもの質問をしてくる。「まぁね」と適当に答えて、バイトの準備をする。

 今日のバイトは工事現場の仕事だ。重いものを運んだり、つるはしを使ったり、名前のよくわからない機器を使って穴を掘ったり。

ドラマや漫画でよく見る仕事だ。このような仕事を実際にやるとは考えもしなかったが、やってみると良い金稼ぎになる。前はコンビニの合間にやっていたが、今はこれがメインとも言える。

「いい加減バイトはやめろ。お前一人くらいなら充分に養える余裕はある」

「それじゃあニートと何も変わらないじゃないか。家賃以外の生活費くらいは自分で出したいんだ」

 替えのシャツが入っているリュックを背負う。

「たまには自分の家に帰りなよ」

 そう言って、家を出た。





 現場は少し遠いため、バイクで行く。買ってくれたのは嬉しいのだが、気が付くと姉の好きなようにいじられていた。いつの間にか後輪のほうに皮製の鞄が二つ取り付けられていたり、サイドカーが付けられていたり、『正和参上』ととてもダサいステッカーが張ってあったり。ちなみに今サイドカーは外している。

約三十分、現場に着いた。

「こんばんは」

そういうと、至る所から威勢のいい声で返事が返ってくる。

まず主任を探す。皆が似たような姿をしているため、探しにくい。作業用ヘルメットの上に、『主任』と大きく黒い字で書いてあるはずなのに、探すのに五分以上かかった。

「こんばんは」

「あぁ、こんばんは」

「仕事が終わったら話があるのですが」

「かまわないよ」

主任の表情はいつもと変わらず、優しかった。





仕事が終わる時間がきた。皆、それぞれが疲労の声を上げ、ぞろぞろと現場を後にしていく。人がいなくなるまでの、シャツを替えたり、携帯電話をいじったりして時間を潰した。

 ほとんど人がいなくなったのを見計らって、主任に声をかける


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