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彼な私
【少年/少女 恋愛小説】

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彼な私-6


私が意識を取り戻したのは次の日の朝で、階段から落ちた事を大笑いしながら母が語ってくれた。
―………
私は女に恋をした…かもしれない。その事があまりにショックで、全く食欲がないまま月曜日の朝を迎えた。
―…ああ〜…頭が痛いとか言って学校休むんだった…
「タケ子くーん!!」
ドキッー
いきなりの杏登場に私の体から汗が吹き出した。
―や、やだぁ…どうしよう…
後ろから杏の足音が大きくなる。
背中に汗が流れ落ちてるのに口の中はカラカラで、うまく声を出せない。
「タケ子君、土曜日…ごめんね…本当にありがとう」
杏の笑顔で目がチカチカする…
「…や、わ、私が悪いんだし…えと…ごめん…」
私、顔を伏せた。
「…嬉しかったけん」
杏がゆっくりと言う。柔らかく暖かいような…さらっと涼しいような…私は杏の顔をチラリと見た。
キュンー
―………
「タケ子おはよー」
どきっー
―は、春樹!!
「お、おはよっ」
「何やってんだよお前ら」
「な、な、何もしてないわよぉ〜」
―いや…危ないところだった。あそこで春樹に声をかけられてなかったら…ああ〜考えるのもおぞましいっっ
そう、危なかった。私はまた、杏を抱きしめてしまうところだった…もうすでに手が出ていたのだ…
「ほら行くぞ」
春樹、私の背中軽く叩いた。
どきんー
―きゃー!!
春樹の大きな手の感覚が、じんと熱を持つ。
―も…もうだめ…
私は二人に挟まれ、息も絶え絶えに学校の門をくぐった。そして、南原に捕まった事を初めて嬉しく思った。
―私…大丈夫なの〜…
今日の午前中は体育祭の全体練習。入場の練習を何度もやらされ、意識が遠のきそうになったときにやっと終わりを迎えた。
―…歩き方なんてどうでもいいじゃな〜い…
「タケ子ふらふらじゃんかよ」
よろけた私を支えたのは尚だった。
「…ありがとう」
「なぁ、金曜日どうだった?」
尚が私の耳元でささやいた。
「え?」
「誕生日、春樹に祝ってもらっただろ?」
「なっ、何で知ってるのぉー?!」
「何もらったんだよ」
尚、私のわき腹をつつく。
「や、もう、やぁ〜だぁ〜」
「あっ、春樹じゃん、あいつに聞こう」
「やん、尚ぃ〜」
昇降口に春樹の姿を見かけた尚、にやけながら近づいていく。
「で、どうなったんだよあのカマと」
―え…?
その言葉で私と尚の足が止まった。
それは春樹の友達だった。確か二年の時同じクラスだった二人…
「三年なったとき絶対落とすって張り切ってたもんな」
「そうそう、あんな珍しいのと付き合ったら後でネタになるっつって」
―…え……
「まぁ、狙った女(えもの)逃したことねーからなー春樹はー」
「だよなー、春樹の後俺らも付き合ってみる?あのカマと」
「ばっかじゃねーのお前、マジきもいし」
二人の笑い声が響く…
―…どういうこと?……春樹が…?…
私は震える体を両手で押さえ込んだ。けど、震えが止まったのかどうか自分では分からず、ただ体中の血が吸い取られるような感覚と冷たい汗が溢れてくるのを耐えてるだけで…
ドンっー
「ってめ…ふざけんなっ!!」
春樹が胸元を掴まれ壁に叩きつけられた。尚だ…
―尚…?
「なんだよそれっ、お前っっ…嘘だったのかよ!!全部っ、全部嘘だったのか!?」
「………」
春樹は無言のまま尚を見つめ返す。
「ネタになる?!あいつの生き方に惚れたんじゃねーのかよ!!」
「熱くなるなよ、もしかしてお前、惚れてんの?」
そう言ったのは春樹の友達…
「…何も知らないお前らが…タケ子を笑う資格なんかないっつってんだよ!!」
尚、春樹の胸元を掴んだまま睨み付ける。
こんな尚は初めてだ…いつも争い事を避け、ちょっと意地悪くニヤリと笑う。そんな尚が…
「…し…も…い…」
‘尚、もういいよ’私は、そう言いたかったのに言葉が出ない。
―嘘…だったんだ…手を握ってくれたのも、あの指輪も…春樹…
尚の声が遠のいていく、いや、尚の声だけじゃない…周りのざわつきも…
「おいっタケ子!!」
薄れゆく景色の中、尚が私を抱き上げ、私は尚に体を預けたまま意識を失った…


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